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ダイシング装置とは?半導体チップを精密切断する技術・市場動向・主要メーカーを徹底解説【2026年最新版】

装置
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半導体製造の後工程は、ウエハからチップを切断する「ダイシング」から始まります。ダイシング装置の市場規模は2030年に向けて着実な成長が見込まれており、先進パッケージングやSiCパワー半導体向けの新技術が急速に進化しています。

本記事では、ダイシング装置の基礎知識から2026年時点の最新技術動向まで、以下の5つの重要ポイントを詳しく解説します。

  • ダイシング装置の役割と基本構造
  • ダイシング装置の種類と特徴
  • 市場規模・成長動向
  • 主な用途・適用分野
  • 主要メーカーの動向

半導体業界に携わる方や最新技術に興味のある方は、ぜひ最後までご覧ください。

  1. ダイシング装置に関する2026年最新ニュース
    1. ① 先進パッケージング向け新プラズマダイシング技術の実用化加速
    2. ② AI駆動型ダイシング制御システムの普及
    3. ③ SiCウエハ大口径化への対応装置が拡充——200mm量産が本格化、300mm開発もスタート
    4. ④ ステルスダイシング技術の第3世代登場
    5. ⑤ プラズマダイシング向けエコシステムの整備完了
    6. ⑥ チップレット・3D実装向け超精密ダイシングの標準化
    7. ⑦ ガラスコア基板向けダイシング技術の台頭
    8. ⑧ シリコンフォトニクスデバイス向けダイシング需要の急増
    9. ⑨ パネルレベルパッケージング(PLP)向けダイシング需要の台頭
    10. ⑩ ディスコ レーザーソー累計出荷4,000台超を達成
  2. ダイシング装置とは?
    1. 1. ダイシングの定義
    2. 2. ダイシング装置の基本構造
    3. 3. ダイシング装置の進化
  3. ダイシング装置の市場規模
    1. 1. 2026年時点の市場規模
    2. 2. 将来の市場予測
    3. 3. 市場成長の主要因
  4. ダイシング装置の種類
    1. 1. ブレードダイシング装置
    2. 2. レーザーダイシング装置
    3. 3. プラズマダイシング装置
    4. 4. ダイシング装置の種類比較
  5. ダイシング装置の主な用途・適用分野
    1. 1. ロジック半導体・メモリ
    2. 2. パワー半導体(SiC・GaN)
    3. 3. MEMSデバイス
    4. 4. イメージセンサー・光学デバイス
    5. 5. 先進パッケージング(チップレット・3D-IC・FOWLP・パネルレベルパッケージング)
    6. 6. 医療・ウェアラブルデバイス
  6. 主要メーカーの動向
    1. 1. ディスコ株式会社(DISCO Corporation)
    2. 2. 東京精密株式会社(Tokyo Seimitsu / ACCRETECH)
    3. 3. 浜松ホトニクス株式会社(Hamamatsu Photonics)
    4. 4. SPTS Technologies(a KLA company)
    5. 5. 古河電工株式会社(Furukawa Electric)
    6. 6. その他の注目メーカー
  7. まとめ:ダイシング装置の現在と今後の展望

ダイシング装置に関する2026年最新ニュース

① 先進パッケージング向け新プラズマダイシング技術の実用化加速

KLA(SPTS Technologies)が提供するプラズマダイシング技術(SPTS Mosaic™システム)は、CoWoS・SoIC・FOWLPなどHPC向け先進パッケージへの量産適用が本格化しています(KLA公式サイト)。従来のブレードダイシングと比較してチップ強度が30〜50%向上するとされており、TSMC・Samsung・Intel Foundryなど主要ファウンドリでの採用実績が拡大しています。なお、SPTSはかつてOrbotechに属していましたが、OrbotechはKLAに2019年に買収されており、現在の正確な表記は「SPTS Technologies, a KLA company」です。

② AI駆動型ダイシング制御システムの普及

2026年時点では、AIによるリアルタイム刃先摩耗検知・自動補正・切削条件最適化が業界標準となりつつあります。ディスコ・東京精密などの主要メーカーは、機械学習モデルを搭載したスマートダイシングシステムを製品化しており、不良率の大幅低減と稼働率向上を実現しています。デジタルツイン技術との連携により、装置のメンテナンスサイクルも予測制御が可能になっています。

③ SiCウエハ大口径化への対応装置が拡充——200mm量産が本格化、300mm開発もスタート

EV・再生可能エネルギー市場の急拡大を背景に、SiC半導体の需要が急増しています。2026年時点では、200mmウエハの量産が本格的に立ち上がっており、Infineonは2025年2月に200mmウエハベース製品の顧客への出荷を開始しています(Infineon公式プレスリリース)。Wolfspeedは150mm(6インチ)ラインを廃止し、200mm対応のMohawk Valley工場へ全面移行する計画を進行中とされています(TrendForce, 2026年3月)。さらに、Wolfspeedは2026年1月に業界初となる単結晶300mm SiCウエハの製造に成功したと発表しており(量産段階ではない)、Coherent Corpも2025年12月に300mm導電性SiC基板の開発を発表するなど、次世代大口径化に向けた動きが顕在化しています。ディスコはSiC向け専用ブレード・レーザーダイシングシステムを拡充しており、EV・パワーデバイス市場での引き合いがさらに高まっています。

④ ステルスダイシング技術の第3世代登場

浜松ホトニクスが開発・提唱するステルスダイシング(SD)技術が第3世代へと進化しました。超短パルスレーザーの高度制御により、改質層の深度・幅の精密制御が可能となり、ストリート幅20μm以下の超狭ピッチ切断に対応しています。MEMSデバイス・イメージセンサー・次世代メモリ(HBM・CXLメモリなど)への適用範囲が大幅に拡大しており、ガラス基板やフォトニクスデバイスへの応用も進んでいます。

⑤ プラズマダイシング向けエコシステムの整備完了

古河電工が「レーザーグルービング+プラズマダイシング工法」向け専用テープ材料(プラズママスク付きバックグラインドテープ、エキスパンド分割用ダイシング・ダイアタッチフィルム)の量産供給体制を確立しています。装置・材料・プロセスの三位一体のエコシステムが整い、先端パッケージ量産ラインへの導入が加速しています。

⑥ チップレット・3D実装向け超精密ダイシングの標準化

チップレット技術(UCIe規格など)や3D積層パッケージング(HBM4・3D-ICなど)の普及に伴い、極薄ウエハ(30μm以下)への対応やストリート幅20μm以下の超狭ピッチ切断が業界標準要件となりつつあります。ウエハボンディング後の薄化・個片化プロセスにおけるダイシング精度要求はナノメートルオーダーに達しており、各メーカーが装置精度の向上に注力しています。

⑦ ガラスコア基板向けダイシング技術の台頭

インテルが推進するガラス基板パッケージ(Glass Core Substrate)をはじめ、ガラス系インターポーザ・ガラスファンアウト基板の開発が活発化しています。2026年時点では、ガラス材料特有の脆性・硬度に対応したレーザーダイシング(CO2レーザー・UVレーザー)および超音波援用ブレードダイシング技術の開発競争が激化しています。

⑧ シリコンフォトニクスデバイス向けダイシング需要の急増

データセンター向け光インターコネクト需要の爆発的拡大を背景に、シリコンフォトニクス(SiPh)デバイスの量産が本格化しています。光導波路を含む精密デバイスのダイシングには、レーザー波長・パルス幅の最適化が不可欠であり、専用ダイシングソリューションの開発が急ピッチで進んでいます。

⑨ パネルレベルパッケージング(PLP)向けダイシング需要の台頭

AI・HPC向けチップの大型化を背景に、ウエハベースのCoWoSからパネルベースのCoPoS(Chip-on-Panel-on-Substrate)への移行が進行しているとされています。標準的な610mm×457mmパネルは300mmウエハの約4倍の面積を持つとされており、PLP向けダイシングを含む個片化技術への需要が新たに浮上しています(PanDaily, 2026年6月)。Applied Materials・Lam Research・TEL・KLAなど大手装置メーカーもPLPを高度パッケージング戦略に組み込み始めており、ディスコは2025年12月のSEMICON Japan 2025で最大400×400mmのパッケージダイシングに対応するダイシングソー「DFD6080」を発表しています(DISCO公式プレスリリース)。

⑩ ディスコ レーザーソー累計出荷4,000台超を達成

ディスコは2026年2月時点でレーザーソーの累計出荷台数が4,000台を超えたと発表しました(DISCO公式プレスリリース)。2002年の初出荷から2020年に2,000台を達成するまで18年を要しましたが、その後わずか6年で追加2,000台を出荷しており、出荷ペースが約3倍に加速しています。先進半導体向けの低ダメージ・高精度加工ニーズの高まりがレーザー加工需要を牽引しているとされています。

ダイシング装置とは?

1. ダイシングの定義

ダイシングとは、半導体製造プロセスにおいてウエハ上に形成された多数の集積回路(IC)やデバイスを個別のチップとして切り出す工程を指します。この工程は最終製品として市場に出る前の重要なステップであり、製品の性能や品質に直結します。ダイシング装置は、この切断作業を高精度かつ効率的に行うために設計されています。

2026年時点では、チップレット設計・先進パッケージング(CoWoS・FOWLP・SoIC・3D-ICなど)の急速な普及により、ダイシング工程に求められる精度・対応材料の幅はかつてないレベルで広がっています。また、ガラス基板やシリコンフォトニクスなど新素材・新デバイスへの対応も急務となっています。

2. ダイシング装置の基本構造

一般的なダイシング装置は、高速回転するスピンドルに取り付けられたダイヤモンドブレードを使用します。このブレードは非常に薄く鋭利な刃先を持つため、ウエハを切断する際には最小限の力で高精度な加工が可能です。加工中には、ブレードの冷却や切削屑の除去を行うために純水や冷却液が噴射され、ウエハへのダメージを防ぎます。

自動化されたロボットアームがウエハを正確に位置決めし、高速で切断作業を進めることで生産性も大幅に向上しています。2026年時点では、カメラ・AI・デジタルツインを活用したアライメント補正機能が標準化され、ナノメートルオーダーの位置精度が実現されています。また、OEE(設備総合効率)のリアルタイムモニタリング機能も主要装置に標準搭載されつつあります。

3. ダイシング装置の進化

近年では、レーザー光を用いたダイシング技術が急速に普及しています。従来のブレードによる切断方法と比較して、レーザーダイシングは非接触であるため、ウエハへの物理的なストレスが少なく、高い精度と柔軟性を提供します。特に薄型ウエハや脆弱な材料の場合、この技術は非常に有効です。

加えて、プラズマを用いた「プラズマダイシング」も先進パッケージング分野で採用が急拡大しています。プラズマダイシングはドライエッチング(ICP-RIE)の原理を応用したもので、チッピングがなくチップ側面の品質が極めて高いため、高密度実装が求められる用途に最適です。SiCパワー半導体・GaNデバイスなど次世代材料への対応においても、この手法の重要性が増しています。

さらに2026年時点では、超音波振動援用ダイシングや水ジェットアシストダイシングなど、複数の物理現象を組み合わせた複合加工技術の実用化研究も活発化しており、難削材への対応領域が着実に拡大しています。

ダイシング装置の市場規模

1. 2026年時点の市場規模

ダイシング装置市場は、半導体産業全体の成長とともに着実に拡大しています。複数の調査会社(2025〜2026年発行)による最新予測では、2030年のダイシング装置市場規模は23.7億〜26.6億米ドル(約3,500〜4,000億円)程度になるとされており(GII調査レポート参照)、出典によって数値には差異があります。特にアジア地域では、台湾・韓国・日本・中国が半導体製造拠点として重要な役割を担っており、ダイシング装置への需要が増加しています。

米中間の半導体規制の長期化を背景に、各国・地域でのサプライチェーン強化を目的とした設備投資が活発化しており、日本・欧米においても半導体工場の新設・拡張が相次いでいます。これがダイシング装置需要のさらなる押し上げ要因となっています。

2. 将来の市場予測

IoT・AI・6G通信・自動運転・生成AIを支えるデータセンター向け高性能半導体の需要が飛躍的に増加しており、ダイシング装置市場への直接的な影響が続いています。市場は今後も安定した成長軌道が見込まれており、成長を支える要因は多岐にわたります。

特にEV化・電装化による自動車向けSiC・GaN半導体需要、HBM(高帯域幅メモリ)需要の急拡大、医療機器・ウェアラブルデバイス向け半導体需要が市場成長を多角的に支えています。チップレット技術の普及により1枚のウエハから切り出されるチップ数と個片化工程の複雑性が増加しており、ダイシング工程の重要性はますます高まっています。

3. 市場成長の主要因

  • スマートフォン・タブレットなどモバイルデバイス需要の持続的増加
  • 自動車電装化・EV化によるパワー半導体(SiC・GaN)・センサー・制御ユニット需要の急拡大
  • 生成AI・大規模言語モデル(LLM)需要を背景としたデータセンター・クラウドインフラ投資の加速
  • HBM(High Bandwidth Memory)の需要急増とAIアクセラレータ向け先進パッケージングの普及
  • チップレット(UCIe規格など)・3D実装・FOWLPなど先進パッケージング採用の拡大
  • パネルレベルパッケージング(PLP)需要の新たな台頭
  • シリコンフォトニクスデバイスの量産化
  • ガラス基板パッケージ技術の実用化
  • AIデータセンター向け高電力密度電源需要を背景としたSiCパワーデバイス需要の多様化
  • 各国政府による半導体産業支援策(CHIPS法・半導体支援法など)に基づく設備投資の活発化
  • 新興国での半導体産業発展

ダイシング装置の種類

1. ブレードダイシング装置

ブレードダイシングは最も一般的なダイシング方式であり、ダイヤモンド砥粒を焼結した超薄型ブレードを高速回転させてウエハを切断します。ブレード厚は用途によって異なりますが、一般的には10〜300μm程度のものが使用されます。切断精度・コスト・汎用性のバランスに優れており、シリコン・GaAs・セラミックなど幅広い材料に対応可能です。

2026年時点では、AIによる刃先摩耗リアルタイム検知・自動補正機能が標準搭載化され、ブレード寿命の延長とチッピング低減が実現されています。また、ステップカット(2段切断)技術の高度化により、Low-k材料を含む多層配線ウエハへの対応も強化されています。

2. レーザーダイシング装置

レーザーダイシングは、レーザー光のエネルギーを利用してウエハを非接触で切断・分割する方式です。主な方式には以下のものがあります。

  • アブレーションダイシング:レーザーでウエハ表面を直接溶融・蒸発させて溝を形成する方式。UV・グリーン・IRレーザーが用途に応じて使い分けられます。
  • ステルスダイシング(SD):ウエハ内部にレーザーを集光して改質層を形成し、後工程のエキスパンドで分割する方式。チッピングが極小で、ストリート幅を大幅に縮小できます。浜松ホトニクスが技術開発をリードしており、2026年時点で第3世代技術が実用化されています。
  • ステルスダイシング+レーザーグルービング複合:プラズマダイシングと組み合わせた複合工程として、先進パッケージ製造での採用が拡大しています。

レーザーダイシングは、薄型ウエハ・MEMS・イメージセンサー・次世代メモリ・シリコンフォトニクスデバイスなど精密デバイスへの適用に特に有効です。ディスコのレーザーソーは2026年2月時点で累計出荷台数が4,000台を超えており、出荷ペースが過去と比較して約3倍に加速しているとされています(DISCO公式プレスリリース)。

3. プラズマダイシング装置

プラズマダイシングは、ドライエッチング(ICP-RIE)の原理を応用してウエハを個片化する方式です。フォトレジストやテープをマスクとして使用し、プラズマによる化学反応でシリコンや化合物半導体を異方性エッチングします。

ブレードダイシングと比較して以下の優位性があります。

  • チッピングがゼロでチップ側面の品質が極めて高い
  • ストリート幅を5μm以下まで縮小可能
  • チップ強度が30〜50%向上
  • 極薄ウエハ(30μm以下)への対応が容易

CoWoS・FOWLP・SoICなど先進パッケージングや、SiC・GaNなど次世代パワーデバイスへの適用が急拡大しており、2026年時点では主要ファウンドリ・OSATでの量産採用が本格化しています。KLA(SPTS Technologies)が提供するSPTS Mosaic™はこの分野の代表的な装置です。

4. ダイシング装置の種類比較

方式 切断原理 主な対応材料 ストリート幅 チッピング 主な用途
ブレードダイシング 機械的切削 Si・GaAs・セラミック等 30〜200μm あり(管理が必要) 汎用半導体・パワーデバイス
レーザーダイシング(アブレーション) レーザー溶融・蒸発 Si・GaAs・ガラス・セラミック 10〜50μm 少ない 薄型ウエハ・MEMS・SiPh
ステルスダイシング 内部改質+エキスパンド分割 Si・SiC・GaAs・ガラス 5〜20μm 極小 MEMS・イメージセンサー・HBM
プラズマダイシング ドライエッチング(ICP-RIE) Si・SiC・GaN 5μm以下 なし 先進パッケージング・次世代パワーデバイス

ダイシング装置の主な用途・適用分野

1. ロジック半導体・メモリ

CPUやGPU、AIアクセラレーター向けロジック半導体は、最先端プロセスノードで製造されるため、ダイシングにも極めて高い精度が求められます。HBM(High Bandwidth Memory)やNANDフラッシュメモリなどのメモリデバイスについても、積層化・薄型化が進む中でダイシング技術の重要性が増しています。特にHBM4向けには、30μm以下の極薄ウエハを安定して個片化する技術が不可欠です。

2. パワー半導体(SiC・GaN)

EV・産業機器・再生可能エネルギーシステム向けのSiCおよびGaNパワーデバイスは、シリコンと比較して硬度・脆性が大きく異なるため、専用のダイシングソリューションが求められます。SiC向けにはレーザーダイシング(ステルスダイシング含む)やプラズマダイシングの採用が拡大しており、チップ強度と歩留まりの両立が課題となっています。

また、2026年にはAIデータセンター向けの高電力密度電源需要がSiCの第2の成長エンジンとして急浮上しているとされています。WolfspeedのAIデータセンター関連売上は直近3四半期で2倍になったと報じられており、InfineonもAI関連収益目標を積極的に設定しているとされています(TrendForce, 2026年3月)。SiCウエハの大口径化も急ピッチで進んでおり、200mm量産が本格化する中、ダイシング装置・プロセスへの要求仕様も変化し続けています。

3. MEMSデバイス

加速度センサー・ジャイロスコープ・圧力センサー・マイクロフォンなどのMEMSデバイスは、微細な可動構造を持つため、ダイシング時の機械的ストレスや振動が製品特性に影響します。ステルスダイシングやプラズマダイシングなど非接触・低ストレスの手法が好まれます。

4. イメージセンサー・光学デバイス

スマートフォンカメラや車載カメラ向けCMOSイメージセンサーは、超薄型かつ高感度な構造を持ちます。受光面へのダメージを最小化しながら精密に個片化する必要があり、ステルスダイシングやレーザーアブレーションダイシングが広く採用されています。シリコンフォトニクスデバイスへの対応も2026年以降の重要テーマです。

5. 先進パッケージング(チップレット・3D-IC・FOWLP・パネルレベルパッケージング)

CoWoS・SoIC・HBM・FOWLP・UCIeチップレットなど先進パッケージングの普及により、ウエハレベルでの個片化工程はより複雑化・高精度化しています。極薄ウエハの安定加工、超狭ストリート幅への対応、異種材料(シリコン+有機基板+金属配線等)の複合切断など、多岐にわたる技術課題がダイシング装置に求められています。

さらに、AI・HPC向けの大型チップ需要を背景に、パネルレベルパッケージング(PLP)向け個片化需要も新たに浮上しています。ディスコが2025年12月に発表した最大400×400mm対応の「DFD6080」はこうした市場動向への直接的な対応として注目されています(DISCO公式プレスリリース)。

6. 医療・ウェアラブルデバイス

医療用センサー・植込み型デバイス・ウェアラブル端末向け半導体は、小型・薄型・高信頼性が求められます。チップサイズの極小化と高い歩留まりを両立するために、精密なダイシング技術が不可欠です。

主要メーカーの動向

1. ディスコ株式会社(DISCO Corporation)

ディスコは世界トップシェアを誇るダイシング装置メーカーであり、ブレードダイシング・レーザーダイシング・研削装置の各分野で圧倒的な存在感を持ちます。2026年時点での主な取り組みは以下の通りです。

  • AI搭載スマートダイシングシステムの標準展開
  • SiC 200mm対応専用レーザー・ブレードソリューションの拡充
  • デジタルツインによる予知保全・リモートサポートの強化
  • 先進パッケージング向け超精密ダイシング装置の新製品投入
  • 2025年12月のSEMICON Japan 2025でパネルレベルパッケージング向け大型ダイシングソー「DFD6080」(最大400×400mm対応)を発表(DISCO公式プレスリリース)
  • 2026年2月にレーザーソーの累計出荷台数4,000台超を達成(DISCO公式プレスリリース)

2. 東京精密株式会社(Tokyo Seimitsu / ACCRETECH)

東京精密はダイシング装置(DICEMASTERシリーズ)と半導体計測装置の両輪で事業を展開しています。AIによる加工状態リアルタイム監視・自動補正機能を強化し、先進パッケージング対応モデルの拡充にも注力しています。研削・ダイシング・検査の一貫ソリューション提供により差別化を図っています。

3. 浜松ホトニクス株式会社(Hamamatsu Photonics)

浜松ホトニクスはステルスダイシング技術の開拓者として、第3世代SD技術の商用化をリードしています。超短パルスレーザー光源の内製開発という強みを活かし、MEMS・イメージセンサー・HBM・シリコンフォトニクス向けの高付加価値ダイシングソリューションを提供しています。

4. SPTS Technologies(a KLA company)

SPTS Technologiesはプラズマダイシング(Dicing Before Grinding対応ICP-RIEシステム)において世界的なリーダーです。なお、OrbotechはKLAに2019年に買収されており、現在の正確な表記は「SPTS Technologies, a KLA company」となります(KLA公式サイト)。プラズマダイシングブランドであるSPTS Mosaic™を中心に、先進パッケージング・SiC・GaN向けプラズマダイシング装置のラインアップを拡充しており、主要ファウンドリ・OSATへの採用実績を積み上げています。

5. 古河電工株式会社(Furukawa Electric)

古河電工はダイシング装置本体ではなく、ダイシングテープ・バックグラインドテープ・ダイアタッチフィルムなどプロセス材料の大手サプライヤーとして重要な地位を占めています。2026年時点では、プラズマダイシング対応専用テープ材料の量産供給体制を確立し、装置・材料・プロセスのエコシステム整備に貢献しています。

6. その他の注目メーカー

  • Kulicke & Soffa(K&S):ダイシング装置に加え、ワイヤボンダー・フリップチップボンダーなどパッケージング装置全般を手掛ける米国大手。
  • ASM Pacific Technology(ASMPT):先進パッケージング向けの総合後工程ソリューションを提供。ダイシング〜ボンディング〜検査の一貫ライン対応を強化。
  • Synova SA:水ジェットレーザー(Laser MicroJet)技術を用いた独自のダイシングソリューションを提供。SiC・ガラス等の難削材への対応で差別化。

まとめ:ダイシング装置の現在と今後の展望

ダイシング装置は、半導体製造の後工程において欠かすことのできない基幹設備です。本記事で解説した通り、2026年時点ではブレードダイシング・レーザーダイシング・プラズマダイシングの三方式が用途に応じて使い分けられており、それぞれの技術が急速に進化を続けています。

市場規模については、複数の調査会社の最新予測(2025〜2026年発行)では2030年時点で23.7億〜26.6億米ドル(約3,500〜4,000億円)程度になるとされており、引き続き安定した成長が見込まれています(GII調査レポート参照)。この成長を牽引するのは、生成AI・データセンター向け先進パッケージング需要、EV化およびAIデータセンター向け電源需要によるSiC・GaNパワーデバイス需要の多様化、そしてチップレット・3D実装技術の普及です。

技術面では、以下のトレンドが今後のダイシング装置の進化を方向付けています。

  • AI・デジタルツイン活用による装置スマート化:刃先摩耗の予知検知・自動補正・稼働率最大化が標準機能となり、装置の無人・省人化が加速します。
  • 極薄ウエハ・超狭ストリート幅への対応:チップレット・3D-ICの普及でナノメートルオーダーの精度要求が常態化します。
  • SiCウエハ大口径化への対応:200mm量産の本格化に続き、300mmウエハ開発も始まっており、対応装置・プロセスの整備が急務です。
  • パネルレベルパッケージング(PLP)向け大型個片化技術:ウエハからパネルへの移行を見据えた新たな装置カテゴリーが台頭しています。
  • 新素材・新デバイスへの対応拡大:SiC・GaN・ガラス基板・シリコンフォトニクスデバイスへの専用ソリューション開発が競争の焦点となります。
  • エコシステム整備:装置・材料・プロセスの三位一体での最適化が歩留まり向上と量産立ち上げ加速の鍵を握ります。

半導体産業が次の成長ステージに入る中、ダイシング装置メーカーにとっては技術革新のスピードと顧客ニーズへの柔軟な対応力がこれまで以上に重要になっています。ディスコ・東京精密・浜松ホトニクスをはじめとする日本メーカーは、引き続き世界市場での競争力維持・強化が求められています。

本記事がダイシング装置の理解を深める一助となれば幸いです。最新の技術動向・市場情報については、今後も継続的に更新してまいります。