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ALD装置とは?原子層堆積技術の基本原理・市場動向・最新ニュースを徹底解説

装置
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ALD(原子層堆積)装置は、半導体製造分野において革新的な技術として注目を集めています。原子レベルでの精密な薄膜形成を可能にするこの装置は、次世代デバイスの開発に不可欠な存在となっています。本記事では、ALD装置の基本原理から最新の市場動向、さらには国内外の最新ニュースまで幅広く解説します。

ALD装置市場は急速に成長しており、調査機関によって異なりますが2024年時点の市場規模は43〜88億ドル規模と評価されています。CAGRも10〜17%と幅のある予測が複数公表されており、成長の勢いを示しています。ゲートオールアラウンド(GAA)トランジスタの本格量産移行やモリブデン配線向けALDの実用化など、技術革新が市場拡大をさらに後押ししています。

ALD装置関連の最新ニュース

  • Lam Researchが世界初のモリブデンALD装置「ALTUS® Halo」を正式発表(2025年2月)
    Lam Researchは2025年2月19日、モリブデン向け原子層堆積装置ALTUS® Haloを正式発表しました。発表時点で「主要チップメーカー全社でクオリフィケーションとランプアップが進行中」と表明されており、量産フェーズへの移行が明らかになっています。モリブデンはナノスケールの配線において従来のタングステンと比べて抵抗値を50%以上改善でき、接着層やバリア層も不要であることから、NAND・DRAM・ロジックの先端ICタイプ全般で採用が進んでいます。同社幹部はこの技術を「過去20年で最大のALDブレークスルー」と位置づけています。
  • ALD Japan, Inc. – 国内大学・研究機関へのALD装置導入が相次ぐ
    東京大学、奈良先端科学技術大学院大学、九州大学、徳島大学などがAT-200MやAT-650Pなどの最新ALD装置を採用し、研究開発を推進しています。TiNのプロセス開発や粉体用コーティング機構の追加など、材料開発とプロセス改良の取り組みも継続して行われています。
  • ALD装置開発のForge NanoがGMのCVCより15億円を調達
    米国のALD技術企業Forge Nanoが2024年10月に約15億円の資金調達を実施しました。GMのCVCからの投資を受け、EVバッテリーの性能向上に向けた共同開発を進めています。同社の技術は半導体・バッテリー・化学産業など幅広い分野で注目されています。
  • ASM International、GAA需要急増でALD市場リーダーシップを強化(2025年)
    ASM InternationalのQ1 2025決算では、ALD装置が機器売上の過半を占めるまでに拡大しています。GAA(ゲートオールアラウンド/ナノシートトランジスタ)への移行に伴い、従来のFinFETと比べてALDの使用ステップ数が大幅に増加しており、2025年を通じてGAA関連の需要が急増すると見込まれています。韓国への製造投資(2023年に約1億ドル規模のMoUを締結)はほぼ完了時期を迎えており、量産対応体制が整いつつあります。
  • JX金属、国内でモリブデン系ALD前駆体材料の量産体制を強化(2025年6月)
    JX金属は2025年6月23日、子会社・東邦チタニウムの茅ヶ崎工場において次世代半導体向けCVD・ALD材料(モリブデン化合物含む)の設備増強が完了しフル稼働を開始したと発表しました。さらに茨城事業所(日立地区)でも量産ラインの立ち上げが完了し、3D-NAND向けモリブデン化合物の出荷が本格化されています。国内でALD前駆体のサプライチェーンが整備されつつある最新事例として注目されます。

ALD装置とは?

ALD(Atomic Layer Deposition)装置は、原子層堆積装置の一種で、非常に薄い膜を原子層単位で形成するために設計されています。ALDは、ガス状の前駆体を基板表面に供給し、化学反応を利用して膜を形成します。このプロセスは、膜厚の均一性と精密な制御が可能であり、特に複雑な形状の基板や高アスペクト比の構造に対して優れた性能を発揮します。

ALDの基本原理

ALD装置では、前駆体ガスと反応ガスを交互に供給することで、表面反応を利用して膜を一層ずつ堆積します。この手法により、膜厚の精密な制御が可能となり、微細な構造でも均一な成膜が実現できます。例えば、酸化膜や窒化膜など、多様な材料がALDによって形成されます。

ALD装置の特長

  • 高い膜厚制御性:ALDは原子層単位で膜を形成するため、数ナノメートルから数十ナノメートルの精度で膜厚を調整できます。
  • 優れた段差被覆性:複雑な形状や高アスペクト比の基板でも均一に成膜できるため、多様な用途に対応可能です。
  • 低温成膜:一部のALDプロセスは低温で行えるため、熱に敏感な材料にも適用できます。

ALD装置の市場規模

ALD装置の市場は急速に成長しています。調査機関によって評価額に差があり、2024年時点の市場規模は43〜88億ドルと幅のある数値が報告されています。成長率(CAGR)についても、GMInsightsは2024年の市場規模を43億ドル、CAGRを約10.6%と予測する一方、Straits Researchは2024年を約61.7億ドルとしてCAGRを10.2%と試算しています。さらにMordor Intelligenceは2029年に201億4000万ドル到達、CAGR 17.02%という強気な予測を示しています。これらの数値の差異は調査対象の範囲や前提条件の違いによるものですが、いずれの予測においても高成長が継続するとの見方は共通しています。

市場成長の要因

  • 半導体製造の微細化・高度化:GAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタへの移行により、従来のFinFETに比べてALDの使用ステップ数が大幅に増加しています。これがALD装置需要の大きな押し上げ要因となっています。
  • 新材料開発:モリブデンなどの次世代配線材料向けALDプロセスの実用化が進んでおり、高性能な薄膜材料の需要が増加しています。
  • 3D NANDの多層化:3D NANDフラッシュメモリの積層数増加に伴い、高アスペクト比構造への均一成膜が求められており、ALD技術の重要性が増しています。
  • 環境への配慮:環境負荷を低減するための新しい製造プロセスとしてALDが注目されています。

地域別市場動向

従来はアジア太平洋地域がALD装置市場で最も大きなシェアを占めているとされてきましたが、最新の調査では北米が2024年に約35%のシェアで市場をリードするとの報告も複数出ています。CHIPS法の施行による米国内の半導体製造投資加速が背景にあり、地域別シェアは変化しつつあります。一方でアジア太平洋地域(日本・韓国・台湾・中国)は依然として主要な製造拠点であり、引き続き大きな需要を創出しています。

ALD装置の種類

ALD装置は主に以下の2つのタイプに分類されます。

サーマルALDの特徴

サーマルALDは、高温で安定した成膜プロセスを提供します。高品質な酸化膜や窒化膜など、多くの用途で使用されています。主に半導体デバイスやMEMS(微小電気機械システム)製造に適しています。

プラズマALDの利点

プラズマALDは低温でも成膜できるため、多様な基板材料への適用が可能です。また、高アスペクト比構造への被覆性も優れており、新しいデバイス技術への対応力があります。

ALD装置の主な用途

ALD装置は多岐にわたる用途がありますが、その中でも特に重要なのは以下の分野です。

  • 半導体製造(ロジック/GAA対応):最先端ロジック半導体では、FinFETからGAA(ゲートオールアラウンド)トランジスタへの世代交代が進んでいます。GAAではゲート絶縁膜・仕事関数金属・スペーサー膜など、多数のALD成膜ステップが必要となるため、ALD装置の需要が飛躍的に拡大しています。
  • メモリデバイス(3D NAND/DRAM):3D NANDフラッシュメモリの多層化や、DRAMのキャパシタ絶縁膜形成など、高精度な薄膜形成が求められる領域で広く採用されています。モリブデン配線向けALDも、NANDおよびDRAMの先端品で量産採用が進んでいます。
  • 光学コーティング:高曲率レンズや光学フィルターなど、多様な光学デバイスへのコーティング技術として利用されています。
  • エネルギー関連:太陽電池や燃料電池、EV用バッテリーのコーティングなど、エネルギー効率向上を目的とした薄膜技術としても活用されています。

ALD装置の機器構成

ALD装置は、主に以下のような機器から構成されています。

  1. リアクター(反応器):ALDプロセスが行われる空間であり、高真空または超高真空状態を維持するための装置です。リアクターは通常、金属や石英で作られており、気密性が高く、原子レベルでの堆積を可能にするよう設計されています。
  2. サブストレートホルダー(基板ホルダー):ALDプロセスにおける薄膜の堆積を受ける基板(サブストレート)を保持するための装置です。基板ホルダーは回転や傾斜機能を備えており、均一な薄膜の堆積を実現します。また、基板ホルダーは温度制御装置に接続されており、適切な温度環境を提供します。
  3. ガス供給装置:ALDプロセスで使用する反応ガスを供給するための装置です。ALDでは、1つの反応ステップごとに一定量のガスを導入します。ガス供給装置は、特定の反応ガスやプリカーサ(precursor)ガスを制御された量でリアクター内に供給します。ガス供給装置には、ガスシリンダーやマスフローコントローラー、ガス配管などが含まれます。
  4. 掃引(ピルスティック)装置:ALDプロセスにおいて、反応ガスをリアクター内の基板上に均一に供給するための装置です。掃引装置は、反応ガスを基板上にスキャンすることで、原子レベルの堆積を確保します。
  5. 測定・制御装置:ALDプロセス中の温度、圧力、流量、時間などのパラメータを監視・制御するための装置です。温度計、圧力計、流量計、制御ソフトウェアなどが含まれます。これにより、ALDプロセスの精密な制御と膜の堆積パラメータのモニタリングが可能となります。
  6. 排気装置:ALDプロセス中に発生する不要なガスや副産物を除去するための装置です。排気ポンプやガス洗浄装置が使用され、リアクター内の圧力とガス組成を制御します。

ALD装置の主な製造メーカー

ALD装置市場には多くのメーカーが存在し、それぞれ独自の技術と製品ラインアップを持っています。以下は主要メーカーです。

日本のメーカー

  • 東京エレクトロン株式会社(TEL):日本国内トップクラスの半導体製造装置メーカーであり、高いスループットと品質を誇るALD装置を提供しています。
  • アルバック:Oxford Instruments社と提携し、プラズマテクノロジー部門の製品であるALD装置とALE装置を国内のお客様向けに販売しています。Oxford社の高度なプロセス技術とアルバックの国内サポート体制を組み合わせた包括的なソリューションを提供しています。
  • サムコ:プラズマALD装置「AD-800LP」を開発・販売しています。この装置は、100〜200mmウェハに対応した枚葉式で、SiCやGaNを材料とした次世代パワー半導体デバイスのゲート酸化膜形成の研究開発向けに設計されています。サムコ独自のトルネードICP方式を採用し、多様な成膜条件を実現しています。
  • 昭和真空:ALDシリーズとして原子層堆積装置を提供しています。φ8インチ基板24枚の一括処理が可能で、基板回転機構を備えています。SiO2・TiO2・Al2O3などの膜種に対応し、高アスペクト比の基板への均一な成膜や低温成膜(RT〜120℃)が可能という特長があります。

海外のメーカー

  • Lam Research:半導体製造分野で先進的なALD装置を提供しています。ALTUSシリーズとSTRIKERシリーズは、高速なALDサイクル・短いプロセス時間・高い生産性・低い保有コストを特徴とします。2025年2月に発表したALTUS® Haloは、世界初のモリブデン向けALD量産装置として、主要チップメーカー全社でのクオリフィケーションとランプアップが進行中とされています。
  • ASM International:世界的に展開している企業で、多様なALDソリューションを提供しています。特にプラズマALD技術に強みがあり、GAA関連需要の急増を背景にALD装置が機器売上の過半を占めるまでに拡大しています。
  • Veeco Instruments:研究開発から量産まで幅広いニーズに対応するALD装置を提供しており、SavannahシリーズやFijiシリーズなどの研究開発向け装置、PhoenixシリーズやFirebirdシリーズなどの量産向け装置を展開しています。
  • PICOSUN JAPAN株式会社:ALD専業メーカーとして知られ、高品質な成膜技術を持つ製品群を展開しています。研究開発から量産まで幅広く対応可能です。

これら企業はそれぞれ異なる技術革新によって競争力を維持しており、ALD市場全体の拡大を牽引しています。

参考サイト