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GaN基板・エピウエハ〜RF・パワー用途で急拡大する化合物半導体材料の最前線

GaN材料の概要

GaN(窒化ガリウム)は、ワイドバンドギャップ半導体の一種であり、バンドギャップ約3.4 eV、高い電子移動度、高い破壊電界を持つ化合物半導体材料です。用途によって大きく2つに分類されます。一つは、RF(高周波)デバイス向けのGaN-on-SiCおよびGaN-on-Si、もう一つはパワーデバイス向けのGaN-on-Si(電力変換用)です。5G基地局・衛星通信・レーダーといったRF用途と、データセンター電源・急速充電器・EV向けのパワー用途の双方で採用が急拡大しています。

GaN基板・エピウエハの種類

GaN-on-SiC(RF用途)

SiC基板上にGaNエピ層を成長させた構造で、熱放散性が高く、高出力RF用途に最適です。5G基地局のパワーアンプや、防衛・宇宙用途のレーダーで標準的に使用されています。

GaN-on-Si(パワー用途)

シリコン基板上にGaNエピ層を形成した構造で、コストパフォーマンスが高く量産性に優れます。200mm(8インチ)Siウエハ対応により、既存のCMOSファウンドリでの製造も可能なため、急速充電器・データセンターPSU向けに採用が拡大しています。

GaNバルク基板

GaN単結晶そのものを基板とするもので、ホモエピタキシャル成長が可能であり、結晶欠陥密度が大幅に低下します。レーザーダイオード(LD)や超高電子移動度トランジスタ(HEMT)の高性能化に貢献しますが、製造コストが非常に高いため用途は限定的です。

市場動向

GaN半導体材料市場は、RF・パワーの双方で力強い成長が続いています。5G基地局の世界的な展開がGaN-on-SiC需要を押し上げ、GaN-on-Siパワーデバイスはスマートフォン向け急速充電器での採用拡大を契機に量産コストが低下し、EV・産業用電源への展開が加速しています。2025年時点でのGaN材料市場規模は約5〜7億ドル規模と推計され、2030年には20億ドル超への拡大が見込まれます。

主要メーカー

  • Wolfspeed(米国):GaN-on-SiC RF分野の最大手。通信・防衛向け高出力GaNに強み。
  • Infineon Technologies(ドイツ):GaN-on-Si(パワー)で積極的に展開。EV・産業向け製品を強化。
  • 住友電気工業(日本):GaN-on-SiCウエハに注力。通信用高品質エピウエハで国内トップ。
  • 日亜化学工業(日本):LED用途から蓄積した窒化ガリウム技術で、パワー・RF分野にも展開。

エンジニア視点の考察

GaNはSiCと同じくワイドバンドギャップ材料ですが、用途の重心が異なります。SiCが「高耐圧・大電流のパワースイッチ」に強みを持つのに対し、GaNは「高周波・中電圧域での高速スイッチング」に優位性があります。この違いを理解することが、パワーシステム設計における材料選択の出発点です。特にGaN-on-Siのコスト低減トレンドと、データセンター電源・EV補機類への普及加速が、今後の材料市場の裾野を広げる重要なドライバーとなるでしょう。

材料
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