成膜装置(CVD, 蒸着, スパッタ, ALD, めっきなど)

装置
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成膜装置

半導体製造工程における成膜装置にはプロセスに応じて様々な種類があります。

成膜方法には、ドライ系(真空チャンバー)ウェット系(薬液槽)があります。

また成膜装置の処理方法には、ウエハカセット単位で複数枚を一括で処理するバッチ式、ウエハをロボットハンドで取り出し、チャンバーで一枚ずつ処理する枚葉式があります。

成膜の形状においては、ウエハ全面に均一な膜厚で成膜するか、パターニングされたウエハの下地膜に対して、選択的に成膜するか、といった区別があります。

代表的な成膜装置として、蒸着装置、スパッタリング装置、CVD装置、エピタキシャル装置、ALD装置、めっき装置などが挙げられます。

成膜対象は、シリコンウエハの他、化合物ウエハ、ガラス、セラミックス、樹脂があります。

ロジック、メモリなどLSIチップ、パワー半導体、ディスクリート、センサ、MEMS、半導体パッケージング、プリント基板、液晶パネル、太陽電池など幅広い製品において成膜装置が用いられています。

半導体プロセスの薄膜の種類には、大別すると、ポリシリコンなどの半導体膜、アルミニウム(Al)やタングステン(W)、銅(Cu)など配線となる金属膜、酸化シリコン(SiO2)を主とした絶縁膜の3種類があります。

他にも、グラフェンやダイヤモンドなど炭素系材料の成膜や、有機ELでは有機系の発光材料の成膜もあります。

ターゲットとする膜厚は、原子を一層毎に堆積するALDのオングストロームオーダーから、電解めっきの数10〜数100μmオーダーまで、プロセスによって大きく異なります。

プロセスパラメータ

成膜装置で重視されるパラメーターは、膜厚均一性(Thickness uniformity)、組成均一性(Composition uniformity)、成膜速度(Deposition rate)、密着性(Adhesiveness)などが挙げられます。

機器構成

成膜装置に共通する構成機器について、ドライ系においては、成膜処理を行う真空チャンバー、真空に保つためのターボ分子ポンプやイオンポンプなど各種真空ポンプと配管バルブ系統、排ガス処理装置、電源、ウエハホルダ、量産用装置ではカセットToカセットに対応するためローダー/アンローダーが設置されます。プロセス制御系の圧力、流量、温度センサーなどにより構成されます。

参考サイト

半導体のベースを構築する成膜工程

【半導体】成膜工程とは?手法と原理

 

真空蒸着装置

蒸着とは、物理気相成長法(PVD)に分類される手法です。真空容器中で蒸着材料を加熱、気化または昇華させて、基板表面に付着させて薄膜を形成する方法です。電子ビーム、イオンビームなどにより加熱します。

装置の特徴
  1. チャンバー(真空容器): 真空蒸着プロセスが行われる空間であり、高真空状態を維持する役割を果たします。一般的には、ステンレス鋼などの材料で作られ、気密性が高い構造になっています。
  2. サブストレートホルダー(基板ホルダー): チャンバー内に設置され、成長やコーティングを行う基板(サブストレート)を保持するための装置です。基板ホルダーは、回転、傾斜、冷却などの機能を持つことがあります。
  3. 電極: 電極は、真空蒸着プロセスにおける蒸着材料の供給や加熱を担当します。通常、蒸着材料は電極上に配置され、加熱によって昇華・蒸発されます。電極は高温に耐える材料で作られ、加熱には抵抗加熱や電子ビーム加熱が使用されることがあります。
  4. 電源: 蒸着材料の昇華や加熱に必要な電力を供給するための電源装置です。電源は蒸着材料の種類や要件に応じて選ばれます。一般的には、直流電源や交流電源が使用されます。
成膜原料

成膜材料は金属、酸化物、有機材料など多種多様です。蒸着材料にはペレット、顆粒の形状の他、様々な形状のものが多く市販されています。

装置メーカー

アルバック、昭和真空、シンクロン、パスカル、サンバック、キヤノントッキ、サンユー電子、神港精機、エイエルエステクノロジー、マイクロフェーズ、テルモセラジャパン、ジャパンクリエイト、真空デバイス、佐藤真空

参考サイト

Wikipedia

 

スパッタリング装置

ターゲットと呼ばれる円盤状の材料に、アルゴンを高エネルギーでぶつけてアルゴン電子に弾き出された原子をウエハ表面に成膜させます。

膜厚は数10〜数100nmオーダーのプロセスが多く、金属膜やバリア層、銅めっきの下地膜にTi/Cuの薄膜を密着層、導電層として形成するのに用いられます。

装置の特徴
  1. ターゲット: スパッタリングプロセスの原料となる材料が配置された板状の部品です。ターゲットは通常、薄膜を形成する材料(例:金属や酸化物)で作られており、装置内の特定の位置に固定されます。
  2. サブストレートホルダー(基板ホルダー): スパッタリングプロセスにおける薄膜の堆積を受ける基板(サブストレート)を保持するための装置です。基板ホルダーは回転や傾斜機能を備えていることがあり、均一な薄膜の堆積を実現します。
  3. プラズマ発生装置: スパッタリングプロセスにおいて、ターゲット材料の表面をイオン化するための装置です。プラズマ発生装置は、高周波電源やマグネトロンと呼ばれる磁気効果を利用した装置が使用されます。これにより、ターゲット表面から物理的なスパッタリングが起こります。
成膜原料

Al,Ti,TiN,TaN,WN,WSi2などプロセスに応じた様々なターゲット材料が市販されています。

メーカー

アプライドマテリアルズ、アルバック、キヤノンアネルバ、シンクロン、芝浦メカトロニクスなど

参考サイト

【半導体製造プロセス入門】PVD装置(スパッタリング装置)の要点解説 [成膜装置の基本③]

 

熱酸化膜装置

熱酸化膜装置は主にSiO2膜の成膜に用いられます。酸素源となる酸素ガスやスチーム雰囲気でSiと酸素を化学反応させます。石英製の反応炉に複数のウエハを投入したバッチ処理が一般的です。フットプリントの小さい縦型炉が量産で多く採用されています。シリコン酸化膜の成膜には、ドライ酸化、ウェット酸化、スチーム酸化、水素燃焼酸化(パイロジェニック酸化)といった方式があります。H2/N2ガスによる窒化膜の直接成膜もあります。

装置の特徴
  1. リアクター(反応器): 熱酸化プロセスが行われる空間であり、高温での酸化反応を実現するための装置です。リアクターは、高温に耐える材料で作られ、気密性が高い構造になっています。一般的には、石英(クオーツ)が使用されます。
  2. ウエハホルダー(基板ホルダー): 熱酸化プロセスにおける酸化膜の成長を受けるウエハを保持するための装置です。ウエハホルダーは、回転や傾斜機能を備えており、均一な酸化膜の成長を実現します。また、ウエハホルダーは温度制御装置に接続されており、酸化膜成長時の適切な温度環境を提供します。
  3. 酸化ガス供給装置: 熱酸化プロセスで使用する酸化ガス(一酸化窒素など)を供給するための装置です。酸化ガス供給装置は、酸化ガスを制御された流量でリアクター内に導入します。一定の濃度と流量で酸化ガスを供給し、酸化膜の成長を制御します。
  4. 加熱装置: 熱酸化プロセスにおいて、リアクター内の温度を制御するための装置です。加熱源としては、電気加熱装置や石英ヒーターが使用されます。加熱装置は、適切な温度環境を提供して酸化膜の成長を制御します。
成膜原料

酸化膜の場合は酸素ガス、水(スチーム)、窒化膜では水素還元雰囲気で窒素ガス使われます。

メーカー

東京エレクトロン

参考サイト

熱工程

CVD装置

CVDとは、Chemical Vapor Depositionの略で、化学気相成長、化学蒸着の意味です。材料ガスの熱分解またはプラズマ分解により薄膜を形成する工法です。

CVD装置では、チャンバー内にウエハをセットし、加熱あるいは真空状態にしたあとに、薄膜の種類に応じた材料ガスを導入、分解させてウエハ上に薄膜を体積させます。

CVDの膜種

常圧CVD SiO2、BPSG(ボロンとリンをドープした酸化膜)

減圧CVD SiO2、Si3N4、BPSG、Poly-Si、WSi2、W

プラズマCVD SiO2、SiON

エピタキシャル成長 Si

化合物CVD

機器構成
  1. リアクター(反応器): CVDプロセスが行われる空間であり、高温で反応が進行します。リアクターは、耐熱性のある材料(例:石英)で作られたシリンダーやチャンバーの形状を持ちます。
  2. サブストレートホルダー(基板ホルダー): CVDプロセスにおける成長または堆積を行う基板(サブストレート)を保持するための装置です。基板ホルダーは、回転や傾斜機能を備えていることがあります。また、基板ホルダーは温度制御装置に接続されており、適切な温度環境を提供します。
  3. ガス供給装置: CVDプロセスで使用する気体を供給するための装置です。ガス供給装置は、各種の前駆体ガスやドーパントガスなどを制御された量でリアクター内に導入します。ガス供給装置は、ガスシリンダーやマスフローコントローラー、ガス配管などから構成されます。
  4. 加熱装置: CVDプロセスにおいて、リアクター内の温度を制御するための装置です。加熱源としては、ラジアントヒーター、電気炉、レーザーなどが使用されます。加熱装置は、高温を維持するための制御機構も含みます。
  5. 排気装置: CVDプロセス中に発生する不要なガスや副産物を除去するための装置です。排気ポンプやガス洗浄装置などが使用され、リアクター内の圧力とガス組成を制御します。
成膜原料

シリコン系:SiH4(シラン)、Si2H6(ジシラン)など

窒化膜(SiN)系:SiH4+NH3(アンモニア)など

酸化膜(SiO2)系:TEOS(テトラエトキシシラン)など

金属膜系:TMA(トリメチルアルミニウム)、WF6(6フッ化タングステン)など

メーカー

アプライドマテリアルズ、ラムリサーチ、ASM、東京エレクトロン

参考サイト

日経クロステック

・YouTube動画:成膜・CVDを徹底解説!!【半導体プロセス解説シリーズ】

 

ALD装置

ALDとは、原子層堆積:Atomic Layer Depositionの略です。

文字通り原子1層分の厚さのオーダーで繰り返し成膜を行うため、均一性に優れた成膜を行うことが可能です。

機器構成
  1. リアクター(反応器): ALDプロセスが行われる空間であり、高真空または超高真空状態を維持するための装置です。リアクターは通常、金属や石英で作られており、気密性が高く、原子レベルでの堆積を可能にするよう設計されています。
  2. サブストレートホルダー(基板ホルダー): ALDプロセスにおける薄膜の堆積を受ける基板(サブストレート)を保持するための装置です。基板ホルダーは回転や傾斜機能を備えており、均一な薄膜の堆積を実現します。また、基板ホルダーは温度制御装置に接続されており、適切な温度環境を提供します。
  3. ガス供給装置: ALDプロセスで使用する反応ガスを供給するための装置です。ALDでは、1つの反応ステップごとに一定量のガスを導入します。ガス供給装置は、特定の反応ガスやプリカーサ(precursor)ガスを制御された量でリアクター内に供給します。ガス供給装置には、ガスシリンダーやマスフローコントローラー、ガス配管などが含まれます。
  4. 掃引(ピルスティック)装置: ALDプロセスにおいて、反応ガスをリアクター内の基板上に均一に供給するための装置です。掃引装置は、反応ガスを基板上にスキャンすることで、原子レベルの堆積を確保します。
  5. 測定・制御装置: ALDプロセス中の温度、圧力、流量、時間などのパラメータを監視・制御するための装置です。温度計、圧力計、流量計、制御ソフトウェアなどが含まれます。これにより、ALDプロセスの精密な制御と膜の堆積パラメータのモニタリングが可能となります。
  6. 排気装置: ALDプロセス中に発生する不要なガスや副産物を除去するための装置です。排気ポンプやガス洗浄装置が使用され、リアクター内の圧力とガス組成を制御します。
成膜材料

TMA(トリメチルアルミニウム)、TiCl4(四塩化チタン)などの液体ソース

メーカー

アプライドマテリアルズ、ラムリサーチ、Veeco、東京エレクトロン、アルバック、サムコ、昭和真空など

参考サイト

・YouTube動画:「原子層堆積(ALD)技術による薄膜形成」

 

めっき装置

めっきには電解めっき(電気めっき)、無電解めっき(化学めっき)があります。

半導体チップの多層配線(BEOL)には銅ダマシン、デュアルダマシンめっきが用いられています。

電解めっきは主に配線や電極形成用途。銅めっき、金めっき、ニッケルめっき、銀めっき、スズ系はんだめっき、合金めっき、コバルトめっきなど。

無電解めっきはニッケル/金めっき(Ni/Au)、ニッケル/パラジウム/金めっき(Ni/Pd/Au)がパワー半導体のアルミニウム下地膜の上の電極パッド(UBM)形成に用いられています。

機器構成
  1. めっき槽(プレーティングセル): 電解めっきプロセスが行われる容器です。めっき槽は導電性の材料で作られ、めっき対象の基板(サブストレート)を収容します。めっき槽内にはめっき液が充填されます。
  2. 電解液供給装置: 電解めっきプロセスに使用する電解液(めっき液)を供給するための装置です。電解液供給装置は、めっき槽内のめっき液の濃度や温度を制御し、適切な条件下でのめっきを実現します。
  3. 電極: 電解めっきプロセスにおいて、基板にめっきする金属イオンを供給するための電極です。一般的には陽極(陽極バス)と陰極(基板)があります。陽極バスはめっき液内に配置され、めっきに使用する金属イオンを供給します。基板はめっき対象となる半導体ウエハや基板を指します。
  4. 電源: 電解めっきプロセスで使用する電力を供給するための装置です。電源は陽極バスおよび基板間に接続され、めっき液内の電流を制御します。通常は直流電源が使用され、電流の強度や極性を調整します。
  5. 測定・制御装置: 電解めっきプロセス中のパラメータを監視・制御するための装置です。めっき液の温度、電流密度、めっき時間などを測定し、制御します。温度計、電流計、タイマーなどが使用されることがあります。
  6. 添加剤補給装置: 電解めっきプロセスにおいて、めっき液に微量の添加剤を導入するための装置です。めっき液内のイオン分布や堆積特性を制御し、めっき膜の品質や均一性を向上させる役割があります。
成膜原料

電解めっき液、無電解めっき液、めっき液添加剤、補給剤、前処理、後処理液など

メーカー

アプライドマテリアル、ラムリサーチ、ASM、荏原製作所、EEJA、日立パワーソリューション、東設など

参考サイト

清川メッキ・めっきのKIYO科書