ウエハボンディング装置とは
半導体製造プロセスにおける「ボンディング」とは、チップとチップ、ウエハとウエハ、チップとウエハなど、2つの対象物を貼り合わせて、強固に結合させる「接合」を意味します。
ボンディング装置には、ワイヤボンディング装置、フリップチップボンディング装置、ダイボンディング装置、ウエハボンディング装置などがあります。
接合方法には以下のようなものがあります。
常温接合 | 真空下においてウエハを重ねた状態で加圧することで接合します。 |
表面活性化接合 | 常温接合の一種で、真空中で接合面の自然酸化膜除去等を行い活性化させます。 |
樹脂接合 | 接着剤や樹脂により貼り合わせます。テンポラリボンディング(仮貼り合わせ)もこの方法です。 |
陽極接合 | ガラスとシリコン、金属を重ねて加熱しガラスを軟化させ基板間に高電圧を印加することで静電引力により接合します。 |
ガラス同士の接合 | ガラス同士を重ねて接合面にレーザー照射することで気密性の高い構造体を作ることができます。 |
分子接合 | 接合面に単分子膜を形成し、加熱または加圧により化学的に結合させます。 |
共晶接合 | 金とシリコンの共晶反応を利用した接合方法です。 |
還元接合 | 還元ガス雰囲気で接合を行います。 |
参考サイト
http://www.semiconbrain.com/s_kyoiku/ginou_assy/1gakkaH17S.pdf
ハイブリッドボンディング装置
現在、注目を集めているプロセス技術はウエハボンディングです。
特にハイブリッドボンディングはデバイスの性能向上に大きく寄与します。
ソニーが開発した裏面照射型イメージセンサにおいて、受光素子と、DRAMとロジックの3層の積層を非常に高度なハイブリッドボンディングによって量産レベルで実現されました。
ウエハ表面にパターニングされたシリコン酸化膜と微細な銅配線パターンをハイブリッドボンディングによってウエハ同士を全面で欠陥なく接合します。
ウエハ表面の粗さ、ウエハの反り、ウエハ表面のパーティクル、ウエハ同士の位置合わせ精度、銅配線のSiO2面に対する凹凸と加熱温度など厳しいプロセス条件をクリアして初めて不良のない接合が実現します。
Macの性能を爆上げしたApple Siliconは、TSMCがチップの積層にハイブリッドボンディングの技術を取り入れたSoICが使われています。
フロリダ大学 Navid Asadi氏のハイブリッドボンディングについての解説
フランスの研究機関 CEA-Letiの動画
主要な構成要素
ハイブリッド接合装置の内部構成について、主要な要素を説明します。
- アライメント機構
高精度なステージと光学系を備え、ウエハーやチップを数μmの精度で位置合わせします。
- 加圧機構
均一な圧力をかけるためのプレス機構を備えています。
通常、数MPaから数十MPaの圧力を加えます。
- 加熱機構
接合時に200℃〜400℃程度の熱処理を行うためのヒーターを備えています[7]。
- 真空チャンバー
清浄な環境を維持し、酸化を防ぐために真空状態で接合を行います。
- 表面活性化装置
プラズマや化学処理により、接合面を活性化させる機構を備えています。
- クリーニング機構
接合前にウエハー表面の微粒子や有機物を除去するための洗浄機構があります。
- 検査システム
接合品質を確認するための光学的または電気的な検査機構を備えています。
接合プロセスの流れ
- ウエハーやチップの表面をクリーニング
- 表面活性化処理を実施
- 高精度にアライメント
- 真空チャンバー内で圧着
- 加熱処理を実施
- 冷却後、接合品質を検査
ハイブリッド接合では、Cu電極と絶縁膜の両方を同時に接合するため、これらの工程を精密に制御する必要があります。
装置内部には、これらのプロセスを自動で順次実行できるよう、搬送機構やロボットアームなども組み込まれています。また、プロセス条件を正確に制御するためのセンサーや制御システムも重要な構成要素となっています。