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半導体パッケージング材料の最新動向2026〜ガラスコア基板・CPO・PLPが切り拓く次世代実装

材料
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半導体パッケージング材料は、先端半導体デバイスの性能と信頼性を決定づける重要な要素として急速に進化しています。AIアクセラレーターの需要急増やチップレット実装の本格普及を背景に、材料開発は従来のトランジスタ微細化(ムーアの法則)の延長線上を超え、パッケージレベルでの異種チップ統合を可能にする方向へ大きくシフトしています。本記事では、基礎的な材料カテゴリの解説に加え、2025〜2026年の最新動向(ガラスコア基板の量産化、光電融合(CPO)、パネルレベルパッケージング(PLP)、Cu-Cuハイブリッドボンディングの低温化、ABFフィルムの需給逼迫など)を網羅的にまとめます。

市場規模:AI需要が牽引する高成長フェーズへ

矢野経済研究所(2025年5月発表)によると、半導体パッケージ基板材料の世界市場は2025年に前年比108.7%の4,327億円、2026年には同110.3%の4,774億円に達すると予測されています(出典:EE Times Japan、2025年5月)。AI向けFC-BGA材料の拡大や再配線層(RDL)材料の採用拡大が主な成長要因とされており、材料市場全体が2桁成長の軌道に入りつつあります。

半導体パッケージング材料の全体像

半導体パッケージング材料は、大きく以下のカテゴリに分類されます。

  • 基板材料:コア材(銅張積層板)、ビルドアップフィルム、感光性ポリイミド樹脂、シリコン、ガラス基板、セラミックス基板、ガラスコア基板
  • 封止・保護材料:モールド樹脂
  • 接合・接着材料:リードフレーム、アンダーフィル材料(CUF・MUF・NCP・NCF)、ダイアタッチ材料、導電性接着剤
  • 配線・接続材料:銅配線(めっき)、はんだ材料(ソルダーペースト・ソルダーボール)、プロセス材料(めっき薬品・CMPスラリー)

先端パッケージングにおいては、2.5D・3D・チップレット実装など、シリコンインターポーザ、シリコンブリッジ、樹脂インターポーザ、ガラスインターポーザなど様々な構造が実用化されつつあります。銅ピラーやRDL配線、マイクロバンプなどめっきによる配線形成が行われており、Cu-Cuハイブリッドボンディングによるチップの直接接合においては、CuダマシンめっきやCMPによる平坦化が行われます。

基板材料

コア材(銅張積層板)

コア材はガラスクロスにエポキシ樹脂を浸み込ませた薄いフィルム(プリプレグ)の両面に銅箔を貼り付けた基板で、銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)と呼ばれています。銅箔にはシャイニー面とマット面があり、マット面は銅箔表面の凹凸によって樹脂との密着性を確保しています。銅箔部分はレジストパターニング後にウェットエッチングにより回路形成が行われます。

ビルドアップフィルム(ABF)とAI需要による需給逼迫

層間絶縁フィルムには、エポキシ樹脂に無機フィラーを混合した材料が使われます。セミアディティブ法(SAP法)によるフォトリソグラフィと銅配線めっきにより多層配線が形成されます。層間の配線接続のための穴あけ加工には、ドリル加工やレーザー加工が用いられます。

FC-BGA向けのビルドアップフィルムとして広く普及しているのが、いわゆるABF(味の素ビルドアップフィルム)です。AIアクセラレーターの需要急増に伴い、ABFの供給逼迫が深刻な課題として浮上しています。2026年第3四半期にABFフィルム価格が約30%引き上げられる見込みで、リードタイムは12〜16週間に延伸しているとされます。2028年には供給不足率が40%超に達するとの予測もあり(出典:基板実装.com、2026年6月)、材料調達リスクとして業界全体への影響が懸念されています。AI向け需要の構造的な拡大が続く中、ABFの安定調達は半導体サプライチェーンの重要課題となっています。

感光性ポリイミド樹脂

樹脂基板を用いない基板レスのパッケージング手法であるファンアウトウエハレベルパッケージ(FO-WLP)において、感光性ポリイミド樹脂が採用されています。支持基板上に感光性ポリイミド樹脂でビア加工を行い、銅めっきに必要な下地導通膜をスパッタ成膜した後、レジストパターンを形成してRDL(再配線層)を形成します。300mmウエハの製造プロセスにより数μmの線幅の微細配線の形成が可能です。

シリコンインターポーザ・シリコンブリッジ

微細配線パターンの形成が可能なシリコンウエハ上に複数のチップを搭載し、配線距離の短縮により性能を向上させることを目的とした2.5Dシリコンインターポーザやシリコンブリッジとしてシリコンウエハが使用されています。

ガラス基板・ガラスインターポーザ

ガラスインターポーザは、高コストなシリコンインターポーザや加工精度に劣る樹脂インターポーザの代替材料として注目されており、低コストと高周波帯域での低電力損失という特長があります。シリコンのように銅拡散のリスクがないためバリア層が不要で、シリコン並みの加工精度を持つ点は樹脂基板よりも優位性があります。また、シリコン基板の最大サイズが300mmであるのに対して、ガラス基板は液晶パネル生産で培われた技術により大判化が容易です。TSV(シリコン貫通電極)と同様にTGV(スルー・ガラス・ビア)の形成も可能です。一方で、衝撃に弱く割れやすい、熱伝導率が低い、銅配線との密着性が悪いなどの課題があります。

ガラスコア基板:量産化ロードマップと主要プレイヤー

インターポーザとしてのガラス活用に加え、近年急速に注目を集めているのが「ガラスコア基板」です。従来の樹脂コア材をガラスに置き換えることで、より高い寸法安定性と電気特性の向上が期待されています。

2026年5月に開催されたICEP 2026では、ドイツのSCHOTTなど欧州勢が先行していることが報告されました(出典:日経クロステック、2026年5月)。国内では複数の企業が参入しており、大日本印刷(DNP)は2025年12月に久喜工場へのTGV(ガラス貫通電極)ガラスコア基板のパイロットライン新設を発表し、2026年初頭のサンプル出荷・2028年度の量産を目指しているとされます(出典:DNP公式ニュース、2025年12月)。AGC、日本電気硝子(NEG)のGCコア、TOPPANも参入するなど、国内でのエコシステム形成が進んでいます。

また、Intelは2026年5月の国際学会において、既存製造ラインでのガラスコア基板製造技術の確立を発表したと報じられています(出典:日経テックフォーサイト、2026年7月)。

さらに、ガラスコア基板は後述する光電融合(CPO)における光路形成にも有利な材料として注目が集まっており、次世代AI半導体パッケージングの基盤材料として複数の観点から重要性が高まっています。

セラミックス基板

半導体パッケージングに使用されるセラミックス基板には、主に以下のようなものがあります。

  • アルミナ(Al₂O₃):最も一般的に使用される基板材料です。電気絶縁性と機械的強度に優れています。
  • 窒化アルミニウム(AlN):高い熱伝導率を持ち、放熱性が重要なパッケージに適しています。
  • 窒化ケイ素(Si₃N₄):高強度で靭性に優れており、耐熱衝撃性が高い材料です。
  • アルミナジルコニア(Al₂O₃/ZrO₂):アルミナにジルコニアを添加して強度を向上させたものです。

これらのセラミックス基板は、高強度・高熱伝導率・低熱膨張係数・電気絶縁性・気密性・耐熱性などに優れており、宇宙用途や車載用途など、高い信頼性が要求される分野で広く採用されています。特に放熱性が重要なパッケージでは、熱伝導率の高い窒化アルミニウムなどが使用されます。また、多層化が容易で内層配線や3次元回路の形成が可能なため、パッケージの小型化にも貢献します。

封止材料:モールド樹脂

モールド樹脂材料は、半導体チップを外部環境から保護するための封止材料として使われます。湿気・溶剤・衝撃などからの保護、チップと外部環境間の電気絶縁の確保、熱伝導性の向上、チップの支持と外部回路への接続などの要求を満たす必要があります。そのため、高い絶縁性・優れた耐熱性・高い機械的強度・低熱膨張係数・良好な密着性・低吸湿性・高い信頼性が求められます。

先端半導体パッケージングにおいて特に重要な役割を果たす材料としてエポキシ樹脂が挙げられます。チップ保護のための封止材料として使用されるほか、機械的強度の付与、低コスト・高生産効率、低吸湿性・高接着性・低熱膨張係数などの多様な要求特性への対応、パッケージ内の熱管理、そして誘電率・誘電損失・体積抵抗率などの電気的特性の確保といった観点で重要な材料です。

接合・接着材料

リードフレーム

リードフレームは、半導体チップと外部回路を電気的に接続するための金属製の枠組みです。主に銅合金で作られ、厚さは100〜400μm程度です。チップを搭載するダイパッド、内部配線用のインナーリード、外部接続用のアウターリードで構成されており、スタンピング加工やエッチング加工で製造されます。

主な要求特性としては、薄型化に伴う高強度、効率的な信号伝達のための高導電性、放熱のための高熱伝導性、チップや樹脂との熱膨張率差の低減、チップ搭載・ワイヤボンディング精度向上のための高い平坦度、金属めっき(銀など)との密着性、封止樹脂との密着性、そして微細加工・ディプレス加工などへの対応が挙げられます。これらの特性を満たすため、銅-鉄-リン、銅-ニッケル-シリコン、銅-クロム-ジルコニウムなどの合金が使用されています。

アンダーフィル材料

アンダーフィル材料は、半導体パッケージングにおいて熱応力の緩和や接続信頼性の向上に重要な役割を果たします。主に以下の4種類があります。

キャピラリーCUF(Capillary Underfill)

  • チップとサブストレートの間に毛細管現象を利用して充填される液状樹脂
  • チップ実装後に注入され、熱硬化する
  • 熱応力を緩和し、接続信頼性を向上させる
  • 従来から広く使用されている手法

モールドMUF(Molded Underfill)

  • チップとサブストレートの間隙を樹脂で一括封止する方法
  • 樹脂注入と封止を同時に行うため、工程の簡略化が可能
  • 生産性が高く、コスト削減に寄与する

非導電ペーストNCP(Non-Conductive Paste)

  • ペースト状の非導電性接着剤
  • チップ実装前にサブストレート上に塗布される
  • チップ接続と同時にアンダーフィルの役割を果たす
  • 工程の簡略化と高速化が可能

非導電フィルムNCF(Non-Conductive Film)

  • フィルム状の非導電性接着剤
  • HBM(High Bandwidth Memory)など多段積層構造の実装に適している
  • 高い接着力と接続信頼性が要求される
  • サブミクロン単位の厚み精度が必要

NCFは特にAI半導体など高性能半導体向けに注目されており、接着と絶縁の機能を同時に持つ点、多段積層構造の実現への貢献、精密な厚み制御が可能な点などが特徴です。これらのアンダーフィル材料は、半導体パッケージの信頼性向上、熱応力の緩和、製造プロセスの効率化などに大きく貢献しています。

ダイアタッチ材料

ダイアタッチ材料には、主にダイアタッチフィルム(DAF)が使用されます。DAFは半導体チップを基板に接着するための特殊なフィルムであり、高い接着力と熱伝導性を持ちます。衝撃吸収や熱管理にも優れた特性を示し、高性能デバイスの製造において不可欠な材料です。

導電性接着剤

導電性接着剤は、電子部品同士や基板との接合に用いられる特殊な接着剤です。高い導電性を持ちながらも柔軟性があり、熱膨張係数が異なる材料間でも優れた接合性能を発揮します。特に高周波や高温環境での使用が期待されています。

配線・接続材料

銅配線

銅めっきは、半導体デバイスの配線に使用される主な材料であり、高い導電性と耐食性を持っています。特にフリップチップ実装やマイクロバンプ技術において重要な役割を果たします。銅は熱伝導性も高く、デバイスの熱管理にも寄与します。

はんだ材料

はんだめっきは接合部の形成に用いられ、主にスズと鉛、または無鉛の合金が使用されます。接合強度を高めるとともに、温度変化に対する耐性を提供します。

ソルダーペーストは電子部品の接合に使用される粘性のある材料で、印刷後の加熱によって溶融し、冷却後に強固な接合が形成されます。高い接着力と優れた流動性を持つため、微細な部品にも対応可能で、表面実装技術(SMT)で広く利用されています。

ソルダーボールはBGA(Ball Grid Array)パッケージングで使用される球状のはんだで、基板とチップ間の接続を確立し、高い信頼性を提供します。特に高温環境下でも安定した性能が求められる用途で重要です。

Cu-Cuハイブリッドボンディングの最新研究:低温化への挑戦

チップを直接接合するCu-Cuハイブリッドボンディングは、3D積層パッケージングの中核技術として広く認識されています。既存記事でもCuダマシンめっきやCMPによる平坦化プロセスに触れていますが、2025〜2026年の研究フロンティアは「低温化」に大きく進展しています。

従来、Cu-Cuハイブリッドボンディングのアニール温度は300℃前後が一般的でしたが、最新の研究では150〜250℃への低減を目指す取り組みが活発化しています。銀パッシベーション、BCBポリマー誘電体の適用、ALD(原子層堆積法)によるRuキャッピングなどの手法が論文化・特許化されており(出典:Nature Communications Engineering、2025年12月)、特に(111)配向Cu微細構造が250℃以下でのボンディング実現に向けた有望な方向性として注目されているとされます。低温化が実現すれば、積層チップへの熱ダメージ低減や、ガラス・樹脂など耐熱性の低い基板材料との組み合わせが容易になるため、次世代パッケージング技術の可能性を大きく広げることが期待されています。

パネルレベルパッケージング(PLP):新たなフロンティア

FO-WLPが円形ウエハを基板として使用するのに対し、AIチップの大型化・多数チップ搭載に対応するため、大型矩形パネルを使用するパネルレベルパッケージング(PLP)が急速に注目を集めています。

ASEは310mm角パネルPLPの2027年量産ラインの開発を発表し(出典:マイナビニュース、2026年5月)、Lam Researchが専用装置拠点を開設するなど、装置・材料を含むエコシステムが業界全体で形成されつつあります(出典:EE Times Japan、2026年5月)。RapidusやレゾナックHDなども参入するとされており、PLP向けのRDL絶縁材や封止材など材料面の動向も拡大しています。

大型パネルへの移行により材料使用効率の向上とコスト削減が見込まれる一方、大判基板に対応した絶縁フィルムやモールド樹脂の均一塗工・均一硬化など、材料・プロセス双方の技術課題も存在します。

光電融合(Co-Packaged Optics: CPO)と先端パッケージング材料

AIデータセンターの消費電力削減の主要手段として、半導体パッケージ内に光学部品を組み込むCPO(Co-Packaged Optics)が2025〜2026年にかけて研究段階から実用化・量産化フェーズへ移行しつつあります。BroadcomやNVIDIAがCPO製品を投入し、ECTC 2026においても注目セッションとして取り上げられたと報じられています(出典:日経クロステック、2026年8月)。

CPOはパッケージング材料の観点からも重要な新潮流です。電気信号と光信号を同一パッケージ内で扱うため、光導波路形成に適した低損失の絶縁材料や、光学部品の実装・位置合わせを可能にする高精度な基板材料が求められます。前述のガラスコア基板は、光路形成にも有利な材料として注目が集まっており、電気的特性と光学特性を両立する材料開発が業界の新たな課題として浮上しています。

まとめ:半導体パッケージング材料の多軸進化

半導体パッケージング材料は現在、以下の複数の軸で同時進化しています。

  • 基板材料の多様化:樹脂・シリコン・ガラス・セラミックスに加え、ガラスコア基板が量産化ロードマップに乗りつつあります。
  • AI需要による供給リスク:ABFビルドアップフィルムの需給逼迫が材料調達の重要課題として顕在化しています。
  • 接合技術の低温化:Cu-Cuハイブリッドボンディングの低温アニール研究が進展し、材料選択の幅が広がっています。
  • パッケージ形態の大型化:ウエハレベルからパネルレベルへの移行が始まり、材料・装置エコシステムが形成されつつあります。
  • 光電融合への対応:CPOが実用化フェーズに入り、光路対応材料という新たな要求が生まれています。

こうした多軸の変化に対応するため、材料メーカー・装置メーカー・デバイスメーカーが連携するオープンイノベーションの重要性はさらに高まっており、今後も半導体パッケージング材料の進化から目が離せない状況が続いています。

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