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チップレット時代の到来〜半導体製造プロセスの中間工程で新市場を創出!

プロセス

チップレット技術は、次世代半導体の鍵を握る重要なイノベーションとして注目を集めています。

微細化の限界を迎え、ムーアの法則を超えたモア・ザン・ムーア(More than Moore)という動きにより、3次元的なチップ間の接続を実現するため、FO-WLPや、チップをTSVで3次元に接続する3D-ICや2.5Dと呼ばれるシリコンインターポーザ上で異種デバイスを接続するプロセスが開発されました。

インテル/EMIB、Foveros、AMD/EPYC、TSMC/InFO、CoWoS、SoICなどがその代表格です。

半導体のチップレット集積は、複数の小さなチップ(チップレット)を1つの大きな基板やパッケージに集積する技術です。従来の単一の大きなチップを作成する代わりに、機能ごとに異なるチップレットを設計・製造し、それらを組み合わせて1つのシステムを構築します。

国内ではRapidusによる2nm世代半導体の開発や、自動車メーカー各社が結集した新会社ASRAの設立など、大規模なプロジェクトが進行中です。一方、海外ではSilicon Boxがイタリアに36億ドルを投資して最先端のチップレット統合施設を建設する計画や、Imec主導の自動車用チップレットコンソーシアムの発足など、グローバルな取り組みが加速しています。本記事では、国内外の最新ニュースをもとに、チップレット技術の最前線をご紹介します。

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最新ニュース

国内ニュース

海外ニュース

  • Chip Industry Week In Review
    Imecが新しい自動車用チップレットコンソーシアムを発表し、Arm、ASE、Cadence、Siemens、Synopsys、Bosch、BMW、Tenstorrent、Valeo、SiliconAutoなどの企業が参加。自動車アプリケーションに最適なアーキテクチャとパッケージング技術を評価することを目的としている。
  • Imec Achieves Seamless InP Chiplet Integration On 300mm RF Silicon Interposer With Excellent Performance At 140GHz
    IEEE国際電子デバイス会議(IEDM)において、ナノエレクトロニクスとデジタル技術分野で世界をリードする研究・イノベーションハブであるimecは、300mmのRFシリコンインターポーザー上にInPチップレットをヘテロ集積化する画期的な成果を発表した。このチップレット集積は、140GHzにおいて無視できるレベルの0.1dBの挿入損失で実現されている。

チップレットとは?

🔍 チップレットの定義

チップレットとは、特定の機能を持つ小さな半導体チップのことです。これらは、より大規模な集積回路を構成するために組み合わせて使用されます。従来の単一の大型チップ(モノリシック設計)とは異なり、チップレットは複数の小さなチップを組み合わせることで、高性能かつ効率的な半導体デバイスを実現します。

💡 チップレット技術の特徴

チップレット技術の最大の特徴は、その柔軟性と効率性にあります。異なる機能を持つチップレットを組み合わせることで、カスタマイズ性の高い半導体デバイスを作ることができます。また、チップレットは個別に製造されるため、製造プロセスの最適化や歩留まりの向上が可能となり、結果としてコスト削減にもつながります。

🚀 チップレット技術の利点

チップレット技術には、以下のような利点があります:

  1. 高性能化:異なる製造プロセスで最適化されたチップを組み合わせることで、全体的な性能を向上させることができます。
  2. コスト削減:個別のチップレットの製造により、歩留まりが向上し、全体的なコストが削減されます。
  3. 柔軟性:必要に応じてチップレットを組み合わせることで、多様な製品ラインナップを効率的に展開できます。

これらの特徴により、チップレット技術は次世代の半導体製造において重要な役割を果たすと期待されています。

ものづくり太郎氏のYouTube動画の中でも、チップレットについてわかりやすく解説されています。

チップレットの市場規模

📈 急成長するチップレット市場

チップレット市場は急速に拡大しており、その成長率は目覚ましいものがあります。市場調査会社Market.USによると、世界のチップレット市場規模は2023年の31億ドル(約5000億円)から、2024年には44億ドル(約7000億円)に拡大すると予測されています。

🔮 2033年の市場予測

さらに驚くべきことに、同じ調査によると、2033年にはチップレット市場が1070億ドル(約17兆円)にまで成長すると予測されています。この急激な成長は、AI、車載電子機器、消費者向け電子機器、データセンターなどの産業の発展に伴う高性能コンピューティングの需要増加によるものです。

📊 年平均成長率(CAGR)

チップレット市場の年平均成長率(CAGR)は、2023年から2033年にかけて42%以上と予測されています。この驚異的な成長率は、チップレット技術が半導体産業に革命をもたらす可能性を示唆しています。

このような急速な市場拡大は、チップレット技術が半導体産業の未来を担う重要な技術であることを示しています。高性能化と効率化を求める様々な産業からの需要が、チップレット市場の成長を後押ししているのです。

チップレットを構成する製造工程

🔧 前工程:個別チップレットの製造

チップレットの製造工程は、従来の半導体製造プロセスと同様に、前工程から始まります。この段階では、シリコンウェハー上に回路を形成し、個々のチップレットを作成します。前工程では、露光や成膜などの化学反応による加工が中心となります。各チップレットは特定の機能に特化して設計されるため、製造プロセスを最適化しやすいという利点があります。

🔗 中工程:チップレットの接続

チップレットの製造における特徴的な工程が「中工程」です。この段階では、個別に製造されたチップレットを相互に接続します。中工程では、シリコンインターポーザー上に微細配線を形成したり、ウェハーの表裏を貫通させて電極を取り出したりする技術が必要となります。これらの技術には、前工程で培われた技術やノウハウが活かされます。

📦 後工程:パッケージング

最後の後工程では、接続されたチップレットを1つのパッケージに収めます。この段階では、樹脂基板の多層積層や、微細なバンプを利用した接続・組み立てなどの技術が必要です。また、熱膨張や振動による機械的負荷に対する信頼性の確保も重要な課題となります。後工程では、組み立て型ものづくりの経験が活かされます。

チップレットの製造工程は、従来の半導体製造技術を基盤としながらも、新たな技術や手法を取り入れることで、より効率的かつ柔軟な生産を可能にしています。この革新的な製造プロセスが、チップレット技術の急速な発展と市場拡大を支えているのです。

チップレットの主な用途

💻 高性能コンピューティング

チップレット技術は、高性能コンピューティング分野で特に注目されています。CPUやGPUなどの演算処理装置において、チップレットを用いることで、より高い処理能力と効率性を実現できます。例えば、AMDの最新プロセッサーではチップレット技術が採用され、高い演算性能と電力効率を両立しています。

📱 モバイルデバイスと5G通信

スマートフォンなどのモバイルデバイスや5G通信機器においても、チップレット技術の活用が進んでいます。複数の機能(例:プロセッサ、メモリ、通信モジュール)を個別のチップレットとして最適化し、1つのパッケージに統合することで、高性能かつコンパクトなデバイスの実現が可能となります。

🚗 自動車産業とIoT

自動車産業やIoT(モノのインターネット)分野でも、チップレット技術の応用が期待されています。自動運転システムやコネクテッドカーの高度な処理要求に対応するため、チップレットを用いた高性能・低消費電力の半導体デバイスが開発されています。また、IoTデバイスにおいても、センサー、プロセッサ、通信モジュールなどを効率的に統合するためにチップレット技術が活用されつつあります。

チップレット技術は、これらの分野以外にも、AIアクセラレータ、エッジコンピューティング、医療機器など、幅広い用途で活用が進んでいます。その柔軟性と高性能化の可能性により、今後さらに多様な分野での応用が期待されています。

チップレットの関連企業

🏭 半導体メーカー

チップレット技術の開発と実用化において、大手半導体メーカーが主導的な役割を果たしています。特に注目されているのは以下の企業です:

  1. AMD:チップレット技術を積極的に採用し、高性能CPUを開発しています。
  2. Intel:独自のチップレット技術「Foveros」を開発し、3D積層技術の実用化を進めています。
  3. TSMC:最先端のチップレット製造プロセスを提供し、多くの企業をサポートしています。

🛠️ 製造装置メーカー

チップレットの製造には高度な装置が必要であり、以下のような企業が重要な役割を果たしています:

  1. TOWA:チップレット集積で使用されるモールディング(樹脂封止)装置で世界シェア7割を握っています。
  2. アルバック:チップレット製造に必要な真空装置を提供しています。

🧪 材料メーカー

チップレットの性能と信頼性を支える材料の開発も重要です。以下の企業が注目されています:

  1. 住友電気工業:チップレット間の接続に使用される高性能材料を開発しています。
  2. 太陽ホールディングス:チップレット用の特殊な基板材料を提供しています。
  3. リンテック:チップレットの実装に使用される高機能テープを開発しています。

これらの企業の技術力と協力関係が、チップレット技術の発展と普及を支えています。今後、さらに多くの企業がこの分野に参入し、技術革新が加速することが期待されています。

国家プロジェクト、研究団体

NEDOーポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業NEDOが推進する「チップレット設計基盤構築に向けた技術開発事業」の概要を紹介するページです。Society5.0実現に向けたAI半導体開発の一環として、チップレット技術の基盤構築を目指す5年間のプロジェクトの詳細が記載されています。
東京工業大学ーチップレット集積プラットフォーム・コンソーシアム東京工業大学が主導する「チップレット集積プラットフォーム・コンソーシアム」の公式ウェブサイトです。次世代チップレット集積技術の開発と実用化を目指し、最新のニュースや研究成果、業界動向を発信しています。産学連携の取り組みにも注目が集まっています。
自動車用先端SoC技術研究組合(ASRA、アスラ)ASRAは、自動車メーカーや半導体企業14社が参画する技術研究組合です。チップレット技術の車載化に向けた研究開発と仕様共通化を目的とし、2030年以降の量産適用を目指しています。自動車の知能化・電動化に必要な高性能コンピューティングの実現に取り組んでいます。
エレクトロニクス実装学会 ーシステムインテグレーション実装技術委員会3次元パッケージやヘテロジニアス・インテグレーションなど、最新の半導体集積化技術の動向調査や将来技術の方向性探索を目的としています。具体的な研究テーマも列挙されています。

参考サイト