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ワイヤボンディング装置~1秒で20本!端子間を超高速で配線する技術

装置

半導体製造の要となるワイヤボンディング装置。ワイヤボンダとも呼ばれます。本記事では、ワイヤボンディング装置の最新ニュースから市場動向、主要メーカーまで、包括的に解説します。5G、IoT、AIの進化に伴い、ますます重要性を増すこの技術の最新情報をお届けします。

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ワイヤボンディング装置に関する最新ニュース

  • Escatec社、最新のワイヤボンダーでMOEMS生産を強化
     EMS(電子機器受託生産サービス)プロバイダーのEscatec社が、スイスの施設にDelvotec M17S自動ワイヤボンダーを導入しました。この高精度かつ高混載対応の装置は、17〜50μmの極細ワイヤを正確かつ効率的に接合でき、一貫した高品質と製造コスト削減に貢献します。MOEMSの生産能力を大幅に拡大し、医療診断、通信信号処理、自動車センサー、小型家電など幅広い分野での応用が期待されています。
  • ワイヤボンディング技術、進化を続け市場拡大へ
     半導体製造において、ワイヤボンディング技術は時代の変化に適応し続けています。新素材の採用や技術革新により、より微細なピッチや信頼性の高い接続が可能になっています。Technavioの最新レポートによると、ワイヤボンダー装置市場は2022年から2027年にかけて年平均成長率3.3%で拡大し、市場規模は2億1,924万ドル増加すると予測されています。自動車用電子機器の増加やOSAT産業の急成長が、この成長を牽引すると見られています。
  • F&S Bondtec社、画像処理技術を統合した高精度ワイヤボンダーを開発
     F&S Bondtec社が、IDS社の産業用カメラを活用した画像処理技術を搭載したワイヤボンダーを開発しました。この技術により、半自動機の56iシリーズや全自動ワイヤボンダーの86シリーズで、マイクロチップの位置ずれを自動的に検出し、ワイヤボンド位置を更新することが可能になりました。最大7つの異なるボンドヘッドを搭載でき、各ヘッドに異なるIDSカメラを統合できる柔軟性を持っています。これにより、製造品質と生産性の向上、不良品の削減が実現されています。
  • 半導体製造用ワイヤボンディング検査装置を発表:生産性向上や歩留まり改善が可能に
     キーサイト・テクノロジーは2024年9月、半導体製造向けワイヤボンディング検査ソリューション「Electrical Structural Tester(EST)」を発表しました。ESTは最新のnVTEP技術を用い、ワイヤボンディングの不良を迅速に特定することで、生産性の向上や歩留まりの改善を可能にします。
  • キヤノンマシナリー、高性能3D寸法計測ワイヤボンディング検査装置「BESTEM-V110」を発表
     ワイヤループやウェッジボンド、ボールボンドの高さや位置、形状などの検査を高精度3D寸法計測で自動検知する新型装置。計測データはデータサーバに収集され、スマートファクトリの実現に貢献する。
  • アイエルテクノロジー、非破壊・非接触の全数検査可能なレーザーボンドテスターを開発
     従来の抜き取り検査から全数検査を可能にし、不良品発生時の処分量を大幅に削減。ワイヤボンド接合界面の面積を瞬時に測定でき、不具合発生時の原因追究を容易にする革新的な検査装置。
  • 新川電気、次世代パワー半導体向け高精度ワイヤボンダー「UTC-5000」シリーズを発表
     株式会社新川の新世代高速ワイヤボンダ「UTC-RZ1」は、コンパクト化と高性能を両立した次世代モデルです。従来機種と比較して設置面積を25%削減しながら、UPH性能を14%向上させ、面積生産性を37%アップ。

ワイヤボンディング装置とは?

1. ワイヤボンディングの基本原理

ワイヤボンディングは、半導体チップと外部回路を電気的に接続する重要な工程です。この技術は、極細のワイヤ(通常は金、銀、銅、またはアルミニウム製)を使用して、チップ上のパッドとパッケージのリードフレームを接続します。ボンディングプロセスでは、熱、圧力、超音波エネルギーを組み合わせて使用し、金属間の強固な結合を形成します。この技術の特徴は、高い信頼性と柔軟性にあり、様々な種類の半導体パッケージングに適用できます。最新のワイヤボンディング技術では、ナノメートルレベルの精度で接続が可能となり、高密度実装や高周波デバイスの製造に不可欠となっています。

2. 主要な構成要素

ワイヤボンディング装置の主要な構成要素には、ボンディングヘッド、ワイヤ供給システム、加熱ステージ、画像認識システムなどがあります。ボンディングヘッドは、ワイヤを正確に配置し、接合を行う中心的な役割を果たします。最新のヘッドは、高速で精密な動きが可能で、複雑なループ形状も作成できます。ワイヤ供給システムは、一定のテンションでワイヤを供給し、安定したボンディングを実現します。加熱ステージは、チップとリードフレームを適切な温度に保ち、良好な接合を促進します。画像認識システムは、高解像度カメラとAI技術を組み合わせ、ボンディングポイントの正確な位置決めと品質管理を行います。これらの要素が連携することで、高速かつ高精度なワイヤボンディングが可能となっています。

3. ボンディングプロセスの流れ

ワイヤボンディングプロセスは、一般的に以下の流れで行われます:

  1. チップの位置決め:画像認識システムを使用して、チップを正確に配置します。
  2. ファーストボンド(チップ側の接合):ワイヤの端にボールを形成し、チップのパッドに接合します。
  3. ワイヤのループ形成:適切な高さと形状でワイヤをループ状に成形します。
  4. セカンドボンド(リードフレーム側の接合):ワイヤの他端をリードフレームに接合します。
  5. ワイヤのカット:余分なワイヤをカットし、次のボンディングに備えます。

このプロセスは高速かつ高精度で行われ、最新の装置では1秒間に15回以上のボンディングが可能です。また、自動光学検査(AOI)システムにより、各ボンディングの品質がリアルタイムで確認されます。近年では、マルチヘッド方式の採用により、さらなる生産性向上が図られています。

半導体チップと基板を繋ぐ架け橋

ワイヤボンディング装置は、半導体チップの電極とリードフレームやパッケージ基板の電極を、極細の金属ワイヤで接続する装置です。この工程は、半導体デバイスの内部配線として不可欠です。

高速・高精度な自動化プロセス

最新のワイヤボンディング装置は、1秒間に20箇所以上もの接続を行う超高速な自動化プロセスを実現しています。この高速性と精度により、大量生産が可能となっています。

コスト効率と柔軟性の高さ

ワイヤボンディングは、低コストかつ自由度の高いプロセスとして知られています。そのため、集積回路(IC)と半導体パッケージの接続の大部分がこの方法で行われています。

ワイヤボンディング装置の市場規模

1. 現在の市場規模

ワイヤボンディング装置の世界市場は、急速に拡大を続けています。2023年の市場規模は9億3,060万米ドルと推定されており、2024年には9億5,970万米ドルに達すると予測されています。この成長は、スマートフォン、タブレット、ウェアラブルデバイスなどの消費者電子機器市場の拡大に加え、自動車産業における電子化の進展、5G通信インフラの整備などが主な要因となっています。特に、AIチップや高性能コンピューティング(HPC)向けの高密度パッケージングの需要増加が、市場拡大を牽引しています。また、新興国市場における電子機器の普及も、市場成長に寄与しています。

2. 成長予測

ワイヤボンディング装置市場は、2024年から2032年にかけて年平均成長率(CAGR)3.6%で成長し、2032年末には12億7,480万米ドルに達すると予想されています。この成長予測は、半導体産業全体の拡大トレンドと一致しています。特に、IoTデバイスの普及、自動運転技術の進展、人工知能(AI)や機械学習(ML)アプリケーションの増加が、市場成長を後押しすると考えられています。また、次世代通信規格である6Gの研究開発も始まっており、将来的にはこれらの新技術に対応した高性能ワイヤボンディング装置の需要が高まると予測されています。

3. 地域別市場動向

地域別の市場動向を見ると、アジア太平洋地域が最も高い成長率を示しています。特に中国、台湾、韓国、日本などが生産能力と技術革新でリードしており、市場の中心となっています。中国市場は、政府の半導体産業育成策により急速に拡大しており、今後も高い成長が期待されています。北米市場も、確立された技術インフラと大手半導体企業の存在により、安定した成長を続けています。特に、AIやクラウドコンピューティング向けの高性能チップ製造に関連する需要が増加しています。欧州市場は、自動車産業向けの半導体需要が牽引役となっており、特に電気自動車(EV)やADAS(先進運転支援システム)関連の成長が著しいです。

ワイヤボンディング装置の種類

ワイヤボンディング装置には、主にボールボンディングとウェッジボンディングの2種類があります。ボールボンディングは接合面積が大きく信頼性が高い一方、ウェッジボンディングはパッケージの小型化に適しています。さらに、自動ワイヤボンディング装置の登場により、生産性と精度が飛躍的に向上しました。これらの装置は、半導体製品の要求に応じて選択され、製品の性能や信頼性、サイズなどの要件を満たすために使用されます。技術の進歩に伴い、これらの装置はさらに高度化し、より微細な接続や高速な処理が可能になると期待されています。

1. ボールボンダー

ボールボンダーは、最も一般的なタイプのワイヤボンディング装置です。この装置は、金や銅のワイヤを使用し、ワイヤの端にボールを形成してボンディングを行います。ボールボンダーの特徴は、高速で信頼性が高く、多くの半導体パッケージングで使用されていることです。最新のボールボンダーは、ナノメートルレベルの精度でボンディングが可能で、1秒間に15回以上のボンディングを行うことができます。また、マルチヘッド方式を採用することで、生産性をさらに向上させています。最近のトレンドとしては、銅ワイヤの使用が増加しており、コスト削減と性能向上の両立が図られています。さらに、AIを活用した自動調整機能や、3D積層チップに対応した高度なループ制御機能など、技術革新が進んでいます。

2. ウェッジボンダー

ウェッジボンダーは、アルミニウムワイヤを使用し、ワイヤを直接パッドに押し付けてボンディングを行う装置です。この方法は、低プロファイルのパッケージや高周波デバイスに適しています。ウェッジボンダーの特徴は、ボールボンダーよりもワイヤの長さを短くできることと、より細いワイヤを使用できることです。これにより、高周波特性が要求される RF デバイスやパワー半導体などの製造に適しています。最新のウェッジボンダーでは、自動ワイヤ供給システムや高精度の位置決め機構が採用されており、生産性と信頼性が大幅に向上しています。また、超音波エネルギーの精密制御により、より強固な接合が可能になっています。近年では、ヘビーワイヤボンディング技術の進化により、パワーエレクトロニクス分野での需要が増加しています。

3. スタッドバンプボンダー

スタッドバンプボンダーは、金や銅のスタッドバンプを形成し、フリップチップ実装などに使用される装置です。この方法は、高密度実装が必要な場合や、特殊なパッケージング要件がある場合に選択されます。スタッドバンプボンダーの特徴は、従来のワイヤボンディングよりも小さな接続面積で高密度の接続が可能なことです。最新のスタッドバンプボンダーでは、微細ピッチ(50μm以下)での高速バンピングが可能となっており、モバイルデバイスやウェアラブル機器向けの小型・高性能チップの製造に不可欠となっています。また、環境に配慮した鉛フリーバンプの形成技術も進化しており、RoHS指令などの環境規制に対応しています。さらに、3D-ICパッケージングへの対応や、異種材料チップの接合など、新しい応用分野も広がっています。

ワイヤボンディング装置の主な用途

1. 集積回路(IC)パッケージング

集積回路(IC)パッケージングは、ワイヤボンディング装置の最も一般的な用途です。この工程では、シリコンチップとパッケージを電気的に接続し、外部環境から保護します。最新のICパッケージングトレンドとしては、システムインパッケージ(SiP)やマルチチップモジュール(MCM)などの高集積パッケージが注目されています。これらの高度なパッケージングでは、複数のチップを3次元的に積層し、高密度で複雑なワイヤボンディングが要求されます。また、5G通信やAIチップなどの高性能デバイスでは、高周波特性や低遅延を実現するための精密なワイヤボンディングが不可欠です。さらに、車載用半導体の分野でも、高温・高湿度環境に耐える信頼性の高いワイヤボンディングが求められています。最新のワイヤボンディング装置は、これらの多様な要求に対応するため、高精度な位置決め機能や、複雑なループ形状の制御機能を備えています。また、銅ワイヤの採用による性能向上やコスト削減、環境負荷の低減なども進んでいます。

2. MEMS(微小電気機械システム)

MEMS(微小電気機械システム)の製造においても、ワイヤボンディング装置は重要な役割を果たしています。MEMSデバイスは、加速度センサー、ジャイロスコープ、圧力センサー、マイクロフォンなど、様々な用途で使用されています。これらのデバイスの製造では、微細な構造物と電子回路を組み合わせる必要があり、高度な精密性が要求されます。最新のワイヤボンディング装置は、MEMSデバイスの微細構造を損傷することなく、正確に電気接続を行うことができます。特に、低温ボンディング技術や超音波ボンディング技術の進歩により、熱に敏感なMEMS構造にも対応可能となっています。また、3D MEMSパッケージングなど、より複雑な構造のデバイス製造にも対応しており、ウェアラブルデバイスや医療機器、自動車センサーなどの分野で需要が拡大しています。

3. パワー半導体デバイス

パワー半導体デバイスの製造においても、ワイヤボンディング装置は重要な役割を果たしています。IGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)やMOSFET(金属酸化膜半導体電界効果トランジスタ)などのパワーデバイスは、高電流・高電圧に耐える必要があり、特殊なワイヤボンディング技術が用いられます。最新のパワー半導体向けワイヤボンディング装置では、太径のアルミニウムワイヤや銅ワイヤを使用したヘビーワイヤボンディング技術が採用されています。これにより、大電流を扱うことができ、デバイスの性能と信頼性が向上しています。また、SiC(炭化ケイ素)やGaN(窒化ガリウム)などの新材料を用いたパワーデバイスにも対応できるよう、高温ボンディング技術や新しい接合材料の開発も進んでいます。電気自動車(EV)や再生可能エネルギー分野の成長に伴い、パワー半導体向けのワイヤボンディング装置の需要は今後さらに拡大すると予想されています。

ワイヤボンディング装置の主な製造メーカー

ワイヤボンディング装置市場には、グローバルおよび国内の主要メーカーが存在し、それぞれ独自の技術と強みを持っています。米国のKulicke & Soffaは、長年の経験と幅広い製品ラインナップで世界市場をリードしています。一方、日本の株式会社新川は、高精度な画像認識技術を活かした装置で注目を集めており、株式会社カイジョーは超音波技術を核とした独自のアプローチで市場に参入しています。これらのメーカーの競争により、ワイヤボンディング技術は日々進化を続けています。今後は、さらなる微細化や高速化、環境負荷の低減などの課題に対応した新技術の開発が期待されており、各メーカーの技術革新が市場の成長を牽引すると考えられます。

1. 日本のメーカー

株式会社新川

ヤマハロボティクスホールディングスのグループ会社となった株式会社新川は、ワイヤボンダ、ダイボンダ、フリップチップボンダなどの半導体製造装置を提供しています。最先端の画像認識技術とデジタル信号処理技術を駆使した高精度な装置で知られています。

株式会社カイジョー

超音波技術を基盤とした株式会社カイジョーは、ボンディングや洗浄プロセスのトータルソリューションを提供しています。1967年に初めての超音波溶着装置、マニュアルワイヤボンダーを商品化して以来、高速・ファインピッチ対応のボンディング装置を開発・製造しています。

2. 海外大手メーカー

海外の大手ワイヤボンディング装置メーカーも、グローバル市場で重要な位置を占めています。主要な企業としては、ASM Pacific Technology(香港)、Kulicke & Soffa(米国)、BE Semiconductor Industries(オランダ)などが挙げられます。ASM Pacific Technologyは、幅広い半導体製造装置のポートフォリオを持ち、特にLED向けやアドバンストパッケージング向けの装置で強みを発揮しています。Kulicke & Soffa は、革新的なボールボンディング技術とウェッジボンディング技術で知られ、特に自動車産業向けの高信頼性装置で市場をリードしています。BE Semiconductor Industries は、高速・高精度のダイアタッチ装置とワイヤボンディング装置を提供し、モバイルデバイス市場などで強いプレゼンスを持っています。これらの企業は、グローバルな販売網と豊富な研究開発リソースを活かし、市場の大きなシェアを占めています。

参考サイト: