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半導体革命の鍵を握る!ガラス基板〜次世代半導体パッケージング向けガラスコア、インターポーザに注目!

材料

半導体産業において、ガラス基板は革新的な役割を果たしつつあります。従来のシリコンウェハーに代わる新たな基板材料として注目を集め、次世代半導体デバイスの可能性を大きく広げています。本記事では、ガラス基板の最新動向から市場規模、種類、用途まで、エンジニアが知っておくべき重要な情報を詳しく解説します。

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ガラス基板に関する最新ニュース

  • 次世代半導体パッケージ向けガラス基板の開発加速
    日本電気硝子は、次世代半導体パッケージに向けたガラスセラミックスコア基板「GCコア」を開発しました。この基板は、CO2レーザーによる高速でクラックレスの穴開け加工が可能で、量産コストの低減が期待されています。さらに、日本電気硝子はビアメカニクスと共同開発契約を結び、無機コア基板の早期実用化を目指しています。
  • 大型ガラス基板の開発
    日本電気硝子は、515mm×510mmの大型ガラスセラミックスコア基板の開発に成功しました。これは、次世代の先端半導体パッケージ向けの基板大型化の要求に応えるものです。
  • ガラス基板への高密着めっき形成技術
    アキレスは、独自のポリピロールめっき法を用いて、ガラス基板への高密着めっき形成を可能にする技術を開発しました。この技術は、低温・常圧プロセスで密着性の高いめっき膜をガラス基板に形成することができ、次世代半導体の製造分野での活用が期待されています。
  • AGCの次世代ガラス材料
    AGCは、半導体の後工程に使う次世代ガラス材料を2028年にも量産する計画を発表しました。この新材料は、従来の樹脂材料をガラスに切り替えることで、消費電力を3割程度削減できる可能性があります。
  • 業界連携の動き
    台湾の鈦昇科技(E&R Engineering Corp.)は、「E-Core System」連盟を結成し、ガラス基板を用いた次世代の先進的なパッケージングのための包括的なソリューションを提供することを目指しています。この連盟には、装置メーカーや部品サプライヤーなど、多数の企業が参加しています。

ガラス基板とは?

ガラス基板の定義

ガラス基板とは、板状のガラス製品のうち、電子機器の基盤を構成する部品として使われるものを指します。従来のシリコンウェハーやガラスエポキシ基板とは異なり、純粋なガラス材料で構成されており、その特性を活かして半導体デバイスの性能向上に貢献しています。

ガラス基板の特徴

ガラス基板の主な特徴として、シリコンに近い熱膨張率、高い剛性、優れた平滑性が挙げられます。これらの特性により、大型パッケージ上に高歩留まりでチップレットなどを実装することが可能となり、信頼性の高い半導体デバイスの製造が実現できます。

ガラス基板の製造方法

ガラス基板の製造には、主にフロート法、フュージョン法、ダウンロード法などが用いられます。これらの方法により、高純度で均一な厚さのガラス板を生産することができます。また、最近では日本電気硝子が開発した、ガラス粉末とセラミックス粉末を混合して焼成する新しい製造方法も注目を集めています。

ガラス基板は、その優れた特性により、次世代半導体デバイスの基板材料として大きな期待を集めています。シリコンに近い熱膨張率を持つことで、チップやチップレットとの熱応力を軽減し、デバイスの信頼性向上に貢献します。また、高い剛性と平滑性は、微細な配線パターンの形成を可能にし、高性能デバイスの実現に不可欠です。エンジニアは、ガラス基板の特性を十分に理解し、その利点を最大限に活かした製品設計を行うことが求められます。

ガラス基板の市場規模

現在の市場規模

ガラス基板市場は、2023年時点でUSD 7.3億と評価されています。この数字は、半導体産業におけるガラス基板の重要性が高まっていることを示しています。特に、電子機器、自動車、太陽光業界における需要増加が市場成長を牽引しています。

将来の市場予測

市場調査によると、ガラス基板市場は2023年から2033年にかけて年平均成長率(CAGR)3.70%で成長し、2033年までにUSD 10.5億に達すると予測されています。この成長率は、ガラス基板技術の進化と、それに伴う新たな応用分野の開拓を反映しています。

地域別の市場動向

アジア太平洋地域が、ガラス基板市場において最大のシェアを占めており、予測期間中に最も急成長する市場になると予想されています。この地域の成長は、主要な電子機器や自動車メーカーの存在、そして太陽光発電インフラへの大規模投資によって後押しされています。

ガラス基板市場の拡大は、半導体産業全体の成長と密接に関連しています。特に、5G通信、IoT、AI、自動運転技術などの先端分野における需要増加が、市場を牽引しています。エンジニアにとっては、この成長市場におけるビジネスチャンスを見逃さないことが重要です。また、地域別の市場動向を把握し、グローバルな視点で技術開発や事業展開を検討することが求められます。

ガラス基板の種類

ソーダライムガラス

ソーダライムガラスは、炭酸ナトリウムを原料としており、最も生産量が多いガラス基板の一種です。比較的安価に生産できるため、早い時期から液晶ディスプレイなどのガラス基板として活用されてきました。主にフロート法で製造され、大量生産に適しています。

無アルカリガラス

無アルカリガラスは、ナトリウムやカリウムといったアルカリ成分を含まないガラスです。厚さが薄い加工ができ、熱膨張率が低く、平滑性が高いという特徴があります。半導体の部品としても使用され、耐久性が求められる用途に適しています。フュージョン法で製造されることが多く、高品質な基板を提供します。

ホウケイ酸ガラス

ホウケイ酸ガラスは、熱膨張率が低く、引っ張りや曲げに強い特性を持っています。一般的には耐熱容器や自動車のヘッドライトに使用されていますが、近年では様々な加工を施して基板用として用いられることも増えています。ダウンロード法やフロート法で製造され、高い信頼性を要求される用途に適しています。

ガラス基板の種類は、その用途や要求される特性によって選択されます。ソーダライムガラスは汎用性が高く、コストパフォーマンスに優れています。一方、無アルカリガラスは高純度が要求される半導体製造に適しており、ホウケイ酸ガラスは高い耐熱性と機械的強度が必要な用途に使用されます。エンジニアは、これらの特性を理解し、製品設計や製造プロセスに最適なガラス基板を選択することが重要です。また、新しい組成や製造方法による特殊ガラス基板の開発にも注目し、より高性能な製品開発につなげることが求められます。

ガラス基板の主な用途

ディスプレイ用途

ガラス基板は、液晶ディスプレイ(LCD)や有機ELディスプレイ(OLED)などのフラットパネルディスプレイの製造に広く使用されています。大判パネルの製造に適しており、高い光透過性と平滑性を持つガラス基板は、高品質なディスプレイの実現に不可欠です。特に、スマートフォンやタブレット、大型テレビなどの消費者向け電子機器市場の拡大に伴い、需要が増加しています。

半導体パッケージ用途

最近注目を集めているのが、半導体パッケージのコア基板としてのガラス基板の使用です。従来のガラスエポキシ基板に代わり、シリコンに近い熱膨張率を持つガラス基板を使用することで、大型パッケージ上に高歩留まりでチップやチップレットを実装することが可能になります。これにより、高性能コンピューティング(HPC)やAI用途向けの次世代半導体デバイスの性能向上と信頼性向上が期待されています。

その他の用途

ガラス基板は、RF用受動素子、MEMS電子部品、フォトニクス分野、アンテナ、メディカル用途など、幅広い分野で活用されています。例えば、5G通信用のアンテナ基板や、医療用イメージングデバイスなど、高周波特性や生体適合性が要求される用途にも適しています。また、太陽光発電パネルの基板としても使用され、再生可能エネルギー分野でも重要な役割を果たしています。

ガラス基板の用途は、技術の進歩とともに拡大し続けています。特に、半導体パッケージ用途での活用は、次世代デバイスの性能向上に大きく貢献すると期待されています。エンジニアは、これらの多様な用途を理解し、自社の製品開発や技術戦略に反映させることが重要です。また、新たな用途の開拓や、既存用途での性能向上に向けた研究開発にも積極的に取り組むことで、競争力の維持・向上につながるでしょう。

ガラス基板の主な製造メーカー

国内メーカー

日本のガラス基板製造メーカーは、高品質な製品と革新的な技術で世界をリードしています。主要な企業として、AGC株式会社、日本電気硝子株式会社などが挙げられます。これらの企業は、長年の経験と高度な技術力を活かし、多様なガラス基板製品を提供しています。特に、AGCは液晶ディスプレイ用ガラス基板で世界トップクラスのシェアを誇り、日本電気硝子は特殊ガラス製品で高い評価を得ています。

海外メーカー

海外では、Corning Incorporated(米国)、SCHOTT AG(ドイツ)、LG Chem(韓国)などが主要なガラス基板メーカーとして知られています。Corningは、ゴリラガラスで有名ですが、ディスプレイ用や半導体用のガラス基板でも強みを持っています。SCHOTTは、特殊ガラスと光学ガラスの分野で世界的に高い評価を受けており、LG Chemは、OLED用ガラス基板などで韓国市場をリードしています。

新興メーカーの動向

近年、中国を中心とする新興メーカーの台頭も目立っています。これらの企業は、政府の支援や大規模な設備投資により、急速に技術力と生産能力を向上させています。例えば、Tianma Microelectronics Co., Ltd.(天馬微電子)は、中国のディスプレイ用ガラス基板市場で存在感を増しています。

ガラス基板市場は、既存メーカーと新興企業の競争が激化しており、技術革新と価格競争が進んでいます。日本企業は高品質と先端技術で優位性を保っていますが、海外メーカーの追い上げも激しくなっています。エンジニアは、これらの主要メーカーの動向を常に把握し、自社の製品開発や調達戦略に反映させることが重要です。また、新興メーカーの台頭は、新たな協業や技術提携の機会をもたらす可能性もあります。市場の変化に柔軟に対応し、グローバルな視点で戦略を立てることが、今後のガラス基板ビジネスにおいて不可欠となるでしょう。

参考サイト

業界ニュースと市場動向

技術情報と製品カタログ

研究論文とテクニカルレポート