微細パターンを形成 〜 露光装置(リソグラフィー)
露光装置とは
露光装置は、ウエハ上に感光剤のフォトレジストを塗布し、露光装置の光源をマスクパターンを通してフォトレジストを部分的に硬化させ、現像することにより微細パターンを形成することを目的とした半導体製造に欠かせない装置の一つです。
半導体前工程以外にも、パッケージング、プリント基板や液晶パネルの製造工程でも使われています。
半導体前工程では、ドライ/ウェットエッチング、イオン注入、めっきなどの工程の前に、露光装置によりパターニングを行います。
以下の一連の工程は「フォトリソ」とも呼ばれています。
レジスト塗布→プリベーク→露光→現像・リンス→ポストベーク→パターン形成
Wikipedia: フォトリソグラフィー
参考動画
露光装置の種類
露光方式によって、ステッパー、マスクアライナーがあります。
ステッパーは極微細パターンに適していて、縮小投影によりマスクとウエハを移動させながら露光を行います。縮小投影に用いるマスクを特に「レチクル」と呼んでいます。
マスクアライナーとは、紫外線を用いてウエハに微細なパターンを転写、焼付する装置です。主に半導体素子製造に使用されますが、液晶ディスプレイのパターン形成や、センサー、RFモジュール、MEMS、水晶発振子の製造など様々な電子デバイスにも用いられます。
また、フォトマスクを使わずにレーザー光や電子ビームで直接描画を行うマスクレスリソグラフィーも開発されている。
露光装置の市場規模
露光装置の市場規模は、2018年時点で1兆円を超えています。
露光装置というと、ムーアの法則(More-moore)により微細化が追い求められる最先端のロジック、メモリにおけるEUV装置が注目されます。EUV装置は1台200億円とも言われており、EUVとArF液浸装置は、ASMLの独占市場となっています。EUV装置の顧客は微細化を進めるインテル、サムスン電子、TSMCの3社のみに限定されています。
その一方で、More-than-mooreと呼ばれる、センサ、RFFE、シリコンフォトニクスなど、5G,6Gや自動運転車、あらゆるモノがつながるIoT(Internet of things)において重要とされる異種デバイスの高集積化においても露光装置が必要とされます。異なるプロセスノードで製造されたチップをシリコン上で接続するチップレット、基板レスパッケージング技術であるFO-WLPやFO-PLP、2.5Dシリコンインターポーザや有機インターポーザなど半導体パッケージングの分野では研究開発と設備投資が活発に行われており、コストパフォーマンスの高い露光装置が必要とされています。
主な露光装置メーカー
国内メーカー
キヤノン
ニコン
ウシオ電機
海外メーカー
ASML 世界トップで唯一EUV装置の開発に成功
Veeco Ultratech
SUSS MicroTec
Heidelberg Instruments
露光装置の光源
露光に用いる光源は、微細化に伴ってより短かい波長が用いられます。
光源 | 波長 | 回路パターンサイズ |
g線(水銀ランプ) | 436nm | 1μm |
I線(水銀ランプ) | 365nm | 0.5μm |
KrFエキシマレーザー | 248nm | 0.18μm |
ArFエキシマレーザー | 193nm | 0.13μm以下 (液浸+ダブルパターニングで さらなる微細化を可能に) |
極端紫外線(EUV) | 13.5nm | 30nm以下 |
EUVにおいて、レジストの高解像度化、マスクの欠陥低減、光源の高出力化などが開発課題となっています。
また、DSA(Directed self-assembly, 自己組織化リソグラフィ)、ナノインプリントリソグラフィーといった新技術が開発されています。
光源メーカー
レーザーテック
ギガフォトン