半導体パッケージング材料

材料
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 半導体パッケージング材料は、先端半導体デバイスの性能と信頼性を決定づける重要な要素として、急速に進化しています。最新の開発動向を踏まえた半導体パッケージング材料の役割について、以下に概要をまとめます。

半導体パッケージング材料について

高性能化と小型化の実現

 先端半導体パッケージング材料は、デバイスの高性能化と小型化を同時に実現する重要な役割を果たしています。例えば、高熱伝導性樹脂材料の導入により、パッケージの冷却性能が大幅に向上し、高発熱の高性能デバイスでも効率的な熱管理が可能になりました。

多様な要求特性への対応

 半導体パッケージング材料には、低吸湿性、高接着性、低熱膨張係数など、多様な特性が求められます。ポリイミド系の感光性絶縁材料は、高い耐熱性と低い熱膨張係数を併せ持ち、再配線層などに用いられています。

新技術への対応

 2.5D、3D、ファンアウトウエハレベルパッケージ(FO-WLP)、システムオンチップ(SoC)など、新しいパッケージング技術に対応する材料開発が進んでいます。これらの技術は、従来のワイヤボンディングやフリップチップ技術を補完し、高性能化と小型化を両立させています。

環境配慮と持続可能性

 半導体パッケージング材料の開発では、環境への配慮と持続可能性も重要な課題となっています。リサイクル可能性や環境負荷の低減を考慮した材料設計が進められています。

オープンイノベーションの重要性

 複雑化する半導体パッケージング技術に対応するため、材料メーカーや装置メーカーなど、異なる分野の企業が連携してオープンイノベーションを推進しています。これにより、短期間で最適なソリューションを導き出すことが可能になっています。

 半導体パッケージング材料は、先端半導体デバイスの性能向上と信頼性確保に不可欠な要素として、今後もさらなる進化が期待されています。

主な半導体パッケージング材料

 基板に用いられる絶縁材料としてコア基板、ビルドアップフィルム、感光性ポリイミドなどの樹脂材料の他、ガラス、セラミックスがあります。配線材料は主に銅めっき、はんだペースト、はんだボール、その他の金属からなる接合材料があります。基板に配線を形成し、チップをリードフレームにマウントしたり、ワイヤボンディング接続を行ったり、フリップチップ実装する際に、ダイ接着剤やアンダーフィル材を使用します。その後の工程では、モールド樹脂で全体を封止します。

 また、先端パッケージングにおいては、2.5D、3D、チップレット実装など、シリコンインターポーザ、シリコンブリッジ、樹脂インターポーザ、ガラスインターポーザなど様々な構造のパッケージングが実用化され始めています。銅ピラーやRDL配線、マイクロバンプなどめっきによる配線形成が行われます。さらにCu-Cuハイブリッドボンディングによりチップを直接接合する工程においては、CuダマシンめっきやCMPによる平坦化が行われます。めっき薬品やCMPスラリーなどのプロセス材料が使用されています。

基板材料

 サーバーや高性能パソコンで用いられるHPC(ハイパフォーマンスコンピューティング)プロセッサなどで採用されるFC-BGA(フリップチップ-ボールグリッドアレイ)、複数のチップを基板上でパッケージングするSiP(システムインパッケージ)では、多数の端子(I/O)を高密度に配置するため、多層配線を形成した樹脂基板が用いられています。多層配線の形成工程で使用される基板材料には、コア材と層間絶縁フィルムがあります。

 先端半導体パッケージングにおいて、特に重要な役割を果たす材料としてエポキシ樹脂が挙げられます。以下の理由が挙げられます:

  1. チップ保護: エポキシ樹脂は封止材料として使用され、チップを外部環境から保護する役割を果たします。
  2. 機械的強度: パッケージに機械的強度を付与し、信頼性を向上させます。
  3. 低コストと高生産効率: エポキシ樹脂は比較的低コストで生産効率が高いという利点があります。
  4. 多様な要求特性: 低吸湿性、高接着性、低熱膨張係数などの特性を持ち、パッケージングの要求に応えます。
  5. 熱管理: パッケージ内の熱の蓄積を最小限に抑える役割も果たします。
  6. 電気的特性: 誘電率、誘電損失、導電率、体積抵抗率などの電気的特性がパッケージングの性能に大きく影響します。

コア材

 コア材はガラスクロスにエポキシ樹脂を浸み込ませた薄いフィルム(プリプレグ)の両面に銅箔を貼り付けた基板です。銅張積層板(CCL:Copper Clad Laminate)と呼ばれています。

 銅張積層板に使われる銅箔は、シャイニー面とマット面があります。マット面は銅箔表面に凹凸があり、樹脂との密着性を確保しています。銅箔部分は、レジストパターニング後、銅箔のウェットエッチングにより回路形成を行います。

ビルドアップフィルム

 層間絶縁フィルムには、エポキシ樹脂に無機フィラーを混ぜ合わせた材料が使われます。半導体パッケージングの層間絶縁フィルムを用いて、セミアディティブ法(SAP法)というフォトリソグラフィと銅配線めっきにより、多層配線が形成されます。

 層間の配線接続のための穴あけ加工には、ドリル加工、レーザー加工が用いられます。

感光性ポリイミド樹脂

 樹脂基板を用いない基板レスのパッケージング手法としてファンアウトウエハレベルパッケージ(FO-WLP)において、感光性ポリイミド樹脂が採用されています。支持基板上に感光性ポリイミド樹脂で下層と配線接続を行うためにビア加工を行います。銅めっきに必要な下地導通膜をスパッタ成膜し、レジストパターンを形成して、RDL(再配線層)を形成します。300mmウエハの製造プロセスにより数μmの線幅の微細配線の形成が可能です。

シリコン

 微細配線パターンの形成が可能なシリコンウエハ上に複数のチップを載せて配線距離の短縮を図ることで性能を向上させることを目的とした2.5Dシリコンインターポーザやシリコンブリッジとしてシリコンウエハが使用されています。

ガラス基板

 ガラスインターポーザは、高コストなシリコンインターポーザや加工精度に劣る樹脂インターポーザの代替材料として注目されており、低コストと高周波帯域での低電力損失な特長があります。シリコンのように銅拡散のリスクがないためバリア層が不要です。シリコン並みに加工精度が高い点は樹脂基板よりも優位性があります。また、シリコン基板の最大サイズは300mmであるのに対して、ガラス基板は液晶パネルの生産で長年培われてきた技術により大判化が容易です。TSVのようなTGV(スルー・ガラス・ビア)の形成も可能です。一方で、衝撃に弱く割れやすい、熱伝導率が低い、銅配線との密着性が悪い、などの課題があります。

 

セラミックス基板

 半導体パッケージングに使用されるセラミックス基板には、主に以下のようなものがあります:
・アルミナ(Al2O3)
 最も一般的に使用されるセラミックス基板材料です。電気絶縁性と機械的強度に優れています。
・窒化アルミニウム(AlN)
 高い熱伝導率を持ち、放熱性が重要なパッケージに適しています。
・窒化ケイ素(Si3N4)
 高強度で靭性に優れており、耐熱衝撃性が高い。
・アルミナジルコニア(Al2O3/ZrO2)
 アルミナにジルコニアを添加して強度を向上させたもの。


 これらのセラミックス基板は、高強度、高熱伝導率、低熱膨張係数、電気絶縁性、気密性、耐熱性など優れた特性があります。セラミックス基板は、金属や有機材料のパッケージと比較して、これらの優れた特性を活かし、高信頼性が求められる用途や過酷な環境下で使用される半導体デバイスのパッケージングに適しています。
 特に放熱性が重要なパッケージでは、熱伝導率の高い窒化アルミニウムなどが使用されます。また、多層化が容易で内層配線や3次元回路の形成が可能なため、パッケージの小型化にも貢献します。
 セラミックス基板を用いたパッケージは、宇宙用途や車載用途など、高い信頼性が要求される分野で広く採用されています。

モールド樹脂

 モールド樹脂材料は、半導体チップを外部環境から保護するための封止材料として使われます。熱伝導性を向上させ、湿気、溶剤、衝撃などからの保護、チップと外部環境の間の電気絶縁を確保し、チップを支持し、外部回路への接続を可能にするなどの要求を満たす材料でなくてはなりません。

 そのため、高い絶縁性、優れた耐熱性、高い機械的強度、低熱膨張係数、良好な密着性、低吸湿性、高い信頼性が求められます。

リードフレーム

 リードフレームは、半導体チップと外部回路を電気的に接続するための金属製の枠組み(フレーム)です。主に銅合金で作られ、厚さは100〜400μm程度です。チップを搭載するダイパッド、内部配線用のインナーリード、外部接続用のアウターリードで構成されています。

スタンピング加工やエッチング加工で製造されます。

 主な要求特性として、パッケージの薄型化に伴い、リードフレーム自体も薄くなるため高強度が求められます。電気信号を効率よく伝達するために高い導電性が必要です。チップで発生する熱を効果的に放熱するために高い熱伝導性が求められます。チップや樹脂との熱膨張率の差を小さくし、信頼性を向上させます。チップ搭載やワイヤボンディングの精度向上のため、高い平坦度が必要です。ワイヤボンディング部分などに施される金属めっき(銀など)との良好な密着性が求められます。封止樹脂との高い密着性が必要で、特に高温環境下での信頼性向上に寄与します。微細加工やディプレス(段差)加工などの高精度な加工が可能であることが求められます。

 これらの特性を満たすため、銅-鉄-リン、銅-ニッケル-シリコン、銅-クロム-ジルコニウムなどの合金が使用されています。半導体の高性能化・小型化に伴い、リードフレームへの要求も高度化しており、材料開発や製造技術の向上が続けられています。

アンダーフィル材料

 アンダーフィル材料は、半導体パッケージングにおいて重要な役割を果たす材料です。主に以下の4種類があります:

キャピラリーCUF (Capillary Underfill)

  • チップとサブストレートの間に毛細管現象を利用して充填される液状樹脂
  • チップ実装後に注入され、熱硬化する
  • 熱応力を緩和し、接続信頼性を向上させる
  • 従来から広く使用されている手法

モールドMUF (Molded Underfill)

  • チップとサブストレートの間隙を樹脂で一括封止する方法
  • 樹脂注入と封止を同時に行うため、工程の簡略化が可能
  • 生産性が高く、コスト削減に寄与する

非導電ペーストNCP (Non-Conductive Paste)

  • ペースト状の非導電性接着剤
  • チップ実装前にサブストレート上に塗布される
  • チップ接続と同時にアンダーフィルの役割を果たす
  • 工程の簡略化と高速化が可能

非導電フィルムNCF (Non-Conductive Film)

  • フィルム状の非導電性接着剤
  • HBM(High Bandwidth Memory)など、多段積層構造の実装に適している
  • 高い接着力と接続信頼性が要求される
  • サブミクロン単位の厚み精度が必要

NCFは特にAI半導体など高性能半導体向けに注目されており、以下の特徴があります:

  • 接着と絶縁の機能を同時に持つ
  • 多段積層構造の実現に貢献
  • 高い接着強度と接続信頼性を提供
  • 精密な厚み制御が可能

これらのアンダーフィル材料は、半導体パッケージの信頼性向上、熱応力の緩和、製造プロセスの効率化などに大きく貢献しています。特に高性能半導体の分野では、NCFなどの先進的な材料の重要性が増しています。

配線材料

銅配線

はんだめっき

ペースト

はんだ材料

ソルダーペースト

ソルダーボール

ダイアタッチ材料

導電性接着剤

材料
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