半導体産業の進化を支える重要な材料、セラミックス基板。その最新動向から市場規模、種類、用途まで、エンジニア必見の情報を徹底解説します。
セラミックス基板に関する最新ニュース
- 日本ガイシ、生産能力2.5倍に増強へ
日本ガイシは、パワー半導体モジュール向け絶縁放熱回路基板の生産能力を2026年度までに現在の約2.5倍に引き上げると発表しました。投資額は約50億円を予定しており、2030年度に売上高200億円を目指します。
- 世界市場、2028年に135億ドルへ成長
セラミックス基板の世界市場規模は、2023年の76億ドルから2028年には135億ドルに達すると予測されています。年平均成長率(CAGR)は7.1%で、電子部品や医療分野での需要増加が成長を牽引すると見られています。
- 自動車産業での需要拡大が鍵に
電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の普及に伴い、車載用途向けのセラミックス基板需要が拡大しています。特に、SiC製パワー半導体向けの窒化ケイ素製絶縁放熱回路基板の採用が増加しており、今後さらなる市場拡大が見込まれます。
セラミックス基板とは?
🔍 定義と基本的な説明
セラミックス基板は、セラミック化合物から作られた電子回路や機械システムを支持・絶縁するための基礎材料です。アルミナ、ジルコニア、窒化ケイ素などのセラミック材料で構成され、優れた熱的・電気的特性を持っています。
⚡ 主な特徴と利点
セラミックス基板の主な特徴には、高い熱安定性、優れた電気絶縁性、機械的強度、化学的不活性性、特定の誘電特性、寸法安定性があります。これらの特性により、高温環境下での使用や電子部品の絶縁、構造的完全性の提供が可能となります。
🔧 製造プロセスの概要
セラミックス基板の製造プロセスは、原料の準備、成形、焼結、仕上げ、品質管理の各段階を経て行われます。原料となるセラミック材料を所望の形状に成形し、高温で焼結して必要な物理的特性を得ます。その後、表面処理や検査を経て完成品となります。
セラミックス基板の市場規模
💹 現在の市場規模と成長率
セラミックス基板の世界市場規模は、2023年に76億米ドルと評価されました。2024年から2032年の予測期間中、年平均成長率(CAGR)6.42%で成長し、2024年の80億9,000万米ドルから2032年には135億米ドルに達すると予測されています。
🌏 地域別の市場動向
アジア太平洋地域が世界のセラミックス基板市場を牽引しています。特に中国、日本、韓国、インドが主要な消費国および製造拠点となっています。中国は生産と消費の両面でリーダーであり、日本と韓国も高性能エレクトロニクスや先端通信機器への需要が高まっています。
🚀 成長を促進する要因
市場成長の主な要因には、電子部品や電子回路における用途の増加、医療分野での需要拡大、エンドユーザー産業における研究開発費の増加が挙げられます。特に、電気自動車(EV)や電子機器の小型化などの先進技術の導入が、エレクトロニクスおよび自動車産業における需要を押し上げています。
セラミックス基板の種類
🧱 アルミナ(Al2O3)基板
アルミナ基板は、最も一般的に使用されるセラミックス基板の一つです。優れた機械的強度、電気絶縁性、耐熱性、耐摩耗性を持ち、主にHIC基板、薄膜回路基板、放熱基板、LEDマウント用基板に使用されます。微細粒子を使用するため気孔が少なく、優れた平滑性と高温環境下での高い抗折強度を発揮します。
🔷 窒化アルミニウム(AlN)基板
窒化アルミニウム基板は、高い熱伝導率を持つことが特徴です。アルミナの約7倍の熱伝導率を有し、高熱伝導性と高耐電圧特性が要求されるパワーモジュール用セラミック回路基板として広く使用されています。標準品(150W/mK)に加え、高熱伝導タイプ(180W/mK)や高信頼性タイプなど、様々なグレードが用意されています。
🔶 窒化ケイ素(Si3N4)基板
窒化ケイ素基板は、高い熱伝導率と強度を兼ね備えています。主にパワー半導体モジュール、インバーター、コンバーターなどのエレクトロニクス分野で使用され、他の絶縁材から置き換えることで製品の高出力化・小型化・軽量化を実現します。また、非常に高い強度を持ち、アプリケーションの長寿命化と信頼性向上に貢献します。
セラミックス基板の主な用途
💻 電子機器・半導体分野
セラミックス基板は、電子機器や半導体分野で幅広く使用されています。主な用途には、パワー半導体モジュール、LEDパッケージ、高周波回路、マイクロプロセッサなどがあります。特に、高性能コンピューティングシステムやデータセンターでは、セラミックス基板の優れた熱管理能力と電気絶縁性が重要な役割を果たしています。
🚗 自動車産業
自動車産業では、電気自動車(EV)やハイブリッド車(HEV)の普及に伴い、セラミックス基板の需要が急増しています。主な用途には、パワー制御ユニット、インバーター、コンバーター、バッテリー管理システム、車載空調システムなどがあります。特に、SiC製パワー半導体向けの窒化ケイ素製絶縁放熱回路基板の採用が増加しており、車両の電動化と高効率化に貢献しています。
🏥 医療・産業機器分野
医療分野では、セラミックス基板が様々な機器に使用されています。例えば、人工関節、歯科用インプラント、医療用センサーなどに利用されています。産業機器分野では、高温・高圧環境下で使用される機器や精密機器の部品として採用されています。また、セラミックス基板は、その優れた特性から、航空宇宙産業や防衛産業でも重要な役割を果たしています。
セラミックス基板の主な製造メーカー
🏭 国内メーカー
半導体および電子デバイス用途のファインセラミックス製造メーカーとその製品ラインナップ、用途を以下の表にまとめました。
メーカー名 | 製品ラインナップ | 主な用途 |
---|---|---|
京セラ | セラミックパッケージ、基板、ヒートシンク | 半導体パッケージ、電子部品実装基板、放熱部品 |
日本ガイシ | セラミックヒーター、静電チャック、各種パーツ | 半導体製造装置、CVD装置、エッチング装置 |
東芝マテリアル | アルミナ基板、窒化アルミニウム基板 | パワー半導体、LED、高周波デバイス |
共立エレックス | アルミナセラミックス基板、ジルコニアセラミックス基板 | LED、高周波デバイス、センサー |
デンカ | 窒化アルミニウム、窒化ホウ素 | 半導体製造装置部品、放熱基板 |
MARUWA | セラミック基板、パッケージ、ヒートシンク | 高周波デバイス、光通信部品、パワーモジュール |
TOTO | ファインセラミックス、複合材料 | 半導体製造装置部品、電子部品 |
日本ファインセラミックス | エレクトロニクセラミックス、エンジニアリングセラミックス | 半導体製造装置部品、電子部品 |
日本特殊陶業 | セラミックパッケージ、基板 | 半導体デバイス、センサー |
これらのメーカーは、高品質なファインセラミックス製品を提供し、半導体産業や電子デバイス産業に重要な役割を果たしています。各メーカーは独自の技術や特徴を持ち、幅広い用途に対応する製品を開発・製造しています。
🌐 海外メーカー
海外では、CoorsTek Inc.(米国)、CeramTec GmbH(ドイツ)、MARUWA Co., Ltd.(日本)、KOA Corporation(日本)、Yokowo Co., Ltd.(日本)、TONG HSING ELECTRONIC Industries,LTD.(台湾)、LEATEC Fine Ceramics Co,.Ltd.(台湾)、NIKKO COMPANY(日本)などが主要なプレイヤーとして知られています。これらの企業は、グローバル市場で競争力を持ち、多様な産業向けにセラミックス基板を提供しています。
🤝 業界動向と競争状況
セラミックス基板業界は、技術革新と需要の多様化により急速に変化しています。主要メーカーは、高性能化、小型化、コスト削減などの課題に取り組みながら、新たな用途開発や生産能力の拡大を進めています。例えば、日本ガイシは生産能力を2.5倍に増強する計画を発表し、欧州での生産拠点も検討しています。また、環境負荷の低減や持続可能性への取り組みも重要なトレンドとなっており、各社はこれらの課題にも積極的に対応しています。
参考サイト
- 絶縁放熱回路基板の生産能力を約2.5倍に増強 | ニュース – 日本ガイシ
- Ceramic Substrates Market Size is Projected to Reach USD
- セラミック基板とは – 技術情報
- What is Ceramic Substrate? Applications and Characteristics
- セラミック基板市場規模、シェア、成長チャート(2032年まで)
- Ceramic Substrates Market, Global Industry Size Forecast
- セラミック基板の世界市場 (2024~2028年) – NEWSCAST
- 共立エレックス株式会社 | 高機能セラミックス基板の専業メーカ …
- Ceramic Insulating Heat Dissipation Substrates (Plain Substrates)
- セラミック基板 – 企業12社の製品とランキング – IPROS
- 窒化ケイ素セラミックス 絶縁回路基板 – 東芝マテリアル