”シリコンアイランド” 九州の半導体産業の動向
九州はかつて”シリコンアイランド”と呼ばれ活気に満ちていましたが、日本の半導体産業の凋落に伴って、外資系企業の撤退などもあり、九州の半導体産業は世界市場の成長の波に乗れず、長い間、産業が停滞していましたが、現在においても、圧倒的な世界シェアを誇るソニーのイメージセンサや、三菱電機やロームのパワー半導体分野においては、九州の製造拠点において、能力増強、工場新設の設備投資が活発化しています。
2020年代に入り、世界最大のファンドリーメーカーである台湾のTSMCが、熊本県への先端半導体工場の建設が発表されたことにより、大きな変化の波が到来しています。その設備投資額は1兆円。日本政府が約50%にあたる5000億円の資金を提供、日本企業としてはソニー、デンソーが出資することが決定しました。2023年には第2工場の投資計画が表明されました。
工場用地の確保、水や電力の確保、サプライチェーンの整備、人材確保、人材育成が急務となっています。また、環境への影響も懸念されます。
設備投資
TSMC JASM
台湾TSMCが熊本県に工場建設を発表、ソニー、デンソーも出資し2021年にJASM(ジャスム)が設立されました。回路線幅は10〜20nmと最先端ではありませんが、需要の多い領域。2023年6月に第2工場の建設を発表しています。
三菱電機
SiCパワー半導体工場を熊本県菊池市に新設することを発表。熊本県合志市にある工場でも生産設備を増強し、合わせた投資額はおよそ1000億円。
ローム
宮崎県国富町のソーラーフロンティアの太陽電池の工場を取得し、SiCパワー半導体の生産工場を建設する計画を2023年7月に発表しました。
ローム・アポロ筑後工場でSiCパワー半導体の生産能力を増強、2025年度までに最大1700億円規模の投資する計画。
SUMCO
SUMCOは、佐賀県伊万里市の工場でシリコンウエハーの生産能力を増強。また吉野ヶ里町に新たな製造拠点を建設する計画。
京セラ
長崎県諌早市に半導体の関連部品を生産工場の建設計画を発表。約620億円を投資して2026年度の稼働を予定しています。
東京エレクトロン九州
東京エレクトロン九州はTSMC進出による需要増と先端半導体製造向け装置開発に向けて事業規模を倍増させる考えを示しています。
サプライチェーン
九州経済産業局が九州の半導体関連企業のサプライチェーンマップを更新。半導体製造の工程別に、関連企業がまとめられています。
大学
九州大学 価値創造型半導体人材育成センター
九州大学が半導体スペシャリストを育成するための拠点を2023年6月1日に開設しました。
九州工業大学
社会人向けのリスキリング(学び直し)講座の講師を8人に倍増し、年間受け入れ数を2022年度の約600人から28年度にも2000人超に拡大。
熊本大学 くまもと3D連携コンソーシアム
熊本大学と熊本県が三次元積層実装産業の確立を目指し、2023年4月にくまもと3D連携コンソーシアムを設立しました。
組織・団体
九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会(SIIQ)
九州経済産業局と九州半導体・エレクトロニクスイノベーション協議会(SIIQ)が2022年3月「九州半導体人材育成等コンソーシアム」の第1回会合を開催しました。