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プリント基板材料〜エポキシ樹脂/ポリイミド/LCP/フッ素樹脂..HPC/5G/6Gに対応する低誘電材料

材料

プリント基板(Print Circuit Board:PCB)は電子機器の心臓部とも言える重要な部品です。その製造に欠かせないのが樹脂材料です。本記事では、プリント基板用途の樹脂材料に関する最新動向や市場規模、種類、用途、主要メーカーなどを詳しく解説します。

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  1.  プリント基板材料に関する最新ニュース
  2. プリント基板用途の樹脂材料とは?
    1. 1. 基本的な定義と役割
      1. プリント基板の構造
      2. 樹脂材料の主な機能
      3. 樹脂材料の重要性
    2. 2. 歴史的背景
      1. 初期のプリント基板材料
      2. エポキシ樹脂の登場
      3. 高性能材料の開発
    3. 3. 製造プロセス
      1. 樹脂の合成
      2. プリプレグの製造
      3. 銅張積層板の製造
  3. プリント基板用途の樹脂材料の市場規模
    1. 1. 世界市場の動向
      1. 市場規模の推移
      2. 地域別の市場シェア
      3. 成長率予測
    2. 2. 日本市場の特徴
      1. 国内市場規模
      2. 日本企業の強み
      3. 今後の展望
    3. 3. 市場成長の要因分析
      1. 技術革新による需要拡大
      2. 電子機器の小型化・高密度化
      3. 自動車産業の電動化
  4. プリント基板用途の樹脂材料の種類
    1. 1. エポキシ樹脂系材料
      1. FR-4(ガラスエポキシ)
      2. 高周波対応エポキシ材料
      3. 高熱伝導エポキシ材料
    2. 2. ポリイミド系材料
      1. フレキシブル基板用ポリイミド
      2. 高周波用ポリイミド材料
      3. 耐熱ポリイミド材料
    3. 3. フッ素樹脂系材料
      1. PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)
      2. 変性フッ素樹脂材料
      3. 液晶ポリマー(LCP)
  5. プリント基板用途の樹脂材料の主な用途
    1. 1. コンシューマーエレクトロニクス
      1. スマートフォン・タブレット
      2. ウェアラブルデバイス
      3. ノートPC・デスクトップPC
    2. 2. 自動車産業
      1. 電気自動車(EV)用パワーエレクトロニクス
      2. 自動運転システム
      3. 車載インフォテインメントシステム
    3. 3. 産業機器・インフラ
      1. 5G基地局
      2. 産業用ロボット
      3. 医療機器
  6. プリント基板用途の樹脂材料の主な製造メーカー
    1. 1. 日本メーカー
      1. パナソニック
      2. 三菱ガス化学
      3. レゾナック
      4. AGC
    2. 2. 海外メーカー
      1. Rogers Corporation(アメリカ)
      2. Isola Group(アメリカ)
      3. Kingboard Laminates Holdings Limited(中国)
      4. DuPont(アメリカ)
  7. まとめ
  8. 参考サイト

 プリント基板材料に関する最新ニュース

  • Swancorが環境に配慮したPCB用エポキシ硬化剤を発表
    Swancor社が開発したEzCiclo低誘電エポキシ硬化剤は、80%以上の廃プラスチック材料を使用しながら、従来の硬化剤の特性を維持しています。この革新的な材料は、PCBのリサイクル性を向上させ、環境負荷を低減しつつ、高性能を実現します。
  • DuPont社のKaptonポリイミドフィルム:多様性と性能の金字塔
    DuPontのKaptonポリイミドフィルムは、極端な温度、振動、その他の過酷な環境に耐える電気的、熱的、化学的、機械的特性の組み合わせを提供します。この材料は、フレキシブルプリント回路基板や高性能電子機器に広く使用されています。
  • AGC ChemicalsがFluon+ ADHESIVEを開発
    AGC Chemicalsは、これまで不可能だったフッ素樹脂の接着を可能にする新技術Fluon+ ADHESIVEを開発しました。この材料は、5G通信システム用のプリント回路基板に適しており、低伝送損失と高耐熱性を兼ね備えています。金属や他の材料との接着が容易になり、電子回路への応用が期待されています。

プリント基板用途の樹脂材料とは?

1. 基本的な定義と役割

プリント基板の構造

プリント基板は、絶縁体である基板上に導体パターンを形成したものです。この基板の材料として使用されるのが、プリント基板用途の樹脂材料です。樹脂材料は、基板の機械的強度を保ちながら、電気的絶縁性を提供する重要な役割を果たします。

樹脂材料の主な機能

プリント基板用途の樹脂材料には、以下のような主要な機能があります:

  1. 電気絶縁性:導体パターン間の絶縁を確保
  2. 機械的強度:基板全体の形状と強度を維持
  3. 熱管理:半導体チップなどの発熱部品からの熱を適切に分散
  4. 寸法安定性:温度変化や湿度変化による寸法変化を最小限に抑制
  5. 耐薬品性:製造プロセスや使用環境での化学物質に対する耐性

樹脂材料の重要性

高性能な電子機器の実現には、プリント基板の性能向上が不可欠です。樹脂材料は、基板の電気特性、機械特性、熱特性などを決定する重要な要素であり、電子機器の小型化、高性能化、高信頼性化に大きく貢献しています。

2. 歴史的背景

初期のプリント基板材料

プリント基板の歴史は1936年にさかのぼります。初期のプリント基板は、フェノール樹脂を含浸させた紙基材(ベークライト)が使用されていました。これらの材料は安価で加工が容易でしたが、耐熱性や電気特性に制限がありました。

エポキシ樹脂の登場

1950年代後半になると、エポキシ樹脂を使用したプリント基板が開発されました。エポキシ樹脂は、フェノール樹脂に比べて優れた電気特性と機械的強度を持ち、現在でも最も一般的なプリント基板材料として使用されています。特に、ガラス繊維を強化材として用いたガラスエポキシ基板(FR-4)は、高い信頼性と優れた性能バランスから広く採用されています。

高性能材料の開発

1970年代以降、エレクトロニクス産業の急速な発展に伴い、より高性能な樹脂材料の開発が進められました。ポリイミド樹脂やフッ素樹脂など、高周波特性や耐熱性に優れた材料が登場し、特殊用途や高性能機器向けに採用されるようになりました。近年では、ナノテクノロジーを応用した新材料の開発も進んでおり、さらなる性能向上が図られています。

3. 製造プロセス

樹脂の合成

プリント基板用途の樹脂材料は、主に熱硬化性樹脂が使用されます。エポキシ樹脂を例にとると、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンを原料として合成されます。合成された樹脂は、硬化剤や各種添加剤と混合され、プリプレグと呼ばれる半硬化状態の材料として製造されます。

プリプレグの製造

プリプレグは、ガラス繊維などの強化材に樹脂を含浸させ、半硬化状態まで反応させた材料です。製造プロセスは以下の通りです:

  1. 強化材(ガラス繊維など)の準備
  2. 樹脂の調製(硬化剤、添加剤の混合)
  3. 強化材への樹脂含浸
  4. 乾燥・半硬化処理
  5. 裁断・検査

銅張積層板の製造

プリプレグと銅箔を積層し、加熱・加圧することで銅張積層板が製造されます。このプロセスでは、樹脂が完全に硬化し、強固な基板が形成されます。製造工程は以下の通りです:

  1. プリプレグと銅箔の積層
  2. 加熱・加圧処理(プレス工程)
  3. 冷却
  4. トリミング・検査

これらの製造プロセスを経て、高品質なプリント基板用樹脂材料が生産されます。製造技術の進歩により、より高性能で信頼性の高い材料が効率的に生産できるようになっています。

プリント基板用途の樹脂材料の市場規模

1. 世界市場の動向

市場規模の推移

プリント基板用途の樹脂材料市場は、電子機器産業の成長に伴い着実に拡大しています。2024年の世界半導体市場規模は約6,500億ドルと予測されており、2025年にはさらに成長して約6,972億ドルに達すると見込まれています。プリント基板用樹脂材料市場もこれに連動して拡大すると予想されます。

地域別の市場シェア

市場シェアを地域別に見ると、アジア太平洋地域が最大のシェアを占めています。特に中国の成長が著しく、2025年には世界の半導体生産能力の約1/3を占めると予測されています。一方で、日本、韓国、台湾などの従来からの主要生産国も依然として重要な位置を占めています。北米や欧州市場も、先端技術の開発や特殊用途向けの需要を中心に安定した成長を続けています。

成長率予測

2025年以降のプリント基板用樹脂材料市場は、年平均成長率(CAGR)3~8%程度で成長すると予測されています。この成長を牽引する要因としては、5G通信の普及、AI・IoTデバイスの増加、自動車の電動化などが挙げられます。

2. 日本市場の特徴

国内市場規模

日本のプリント基板用樹脂材料市場は、世界市場の中でも高い技術力と品質で知られています。2025年の日本の半導体生産能力は、前年比3%増の月産470万枚(200mmウエハー換算)と予測されており、これに伴いプリント基板用樹脂材料の需要も増加すると見込まれています。

日本企業の強み

日本企業は、高機能・高品質な樹脂材料の開発・製造で世界をリードしています。特に、高周波対応材料や高熱伝導性材料、環境配慮型材料などの分野で強みを持っています。例えば、AGCやデクセリアルズ、レゾナックなどが、世界市場で高いシェアを持つ製品を展開しています。

今後の展望

日本市場は、高付加価値製品の開発と生産に注力しています。特に、次世代通信規格(Beyond 5G/6G)に対応した低損失材料や、電気自動車向けの高信頼性材料など、先端分野での需要拡大が期待されています。また、環境負荷低減に向けた取り組みも活発化しており、バイオマス由来材料やリサイクル可能な材料の開発が進んでいます。

3. 市場成長の要因分析

技術革新による需要拡大

プリント基板用樹脂材料の市場成長を牽引する最大の要因は、絶え間ない技術革新です。5G通信やAI、IoTなどの先端技術の普及に伴い、より高性能な樹脂材料への需要が高まっています。例えば、高周波対応材料の需要は2025年までに年平均10%以上の成長が見込まれています。

電子機器の小型化・高密度化

スマートフォンやウェアラブルデバイスなど、電子機器の小型化・高密度化が進んでいます。これに伴い、プリント基板も高密度化が求められ、より薄く、高性能な樹脂材料が必要とされています。特に、ビルドアップ基板用の樹脂材料市場は2025年までに年平均7%の成長が予測されています。

自動車産業の電動化

電気自動車(EV)や自動運転技術の普及により、自動車産業におけるプリント基板の需要が急増しています。自動車用プリント基板には高い信頼性と耐久性が求められるため、高機能樹脂材料の需要が拡大しています。自動車向けプリント基板材料市場は、2025年までに年平均12%の成長が見込まれています。

プリント基板用途の樹脂材料の種類

1. エポキシ樹脂系材料

FR-4(ガラスエポキシ)

FR-4は最も一般的に使用されるプリント基板材料です。ガラス繊維を強化材とし、エポキシ樹脂を含浸させた材料で、優れた電気特性と機械的強度を持ちます。耐熱性はTg(ガラス転移温度)が130~140℃程度で、幅広い用途に使用されています。近年では、高Tgタイプ(170℃以上)も開発され、より高い信頼性が求められる用途に採用されています。

高周波対応エポキシ材料

5G通信などの高周波用途向けに、低誘電率・低誘電正接のエポキシ材料が開発されています。例えば、フッ素化エポキシ樹脂や、特殊なフィラーを添加したエポキシ材料などがあります。これらの材料は、従来のFR-4と比べて高周波での信号損失を大幅に低減することができます。

高熱伝導エポキシ材料

パワーデバイスや高性能プロセッサなどの発熱量の大きい部品に対応するため、高熱伝導性のエポキシ材料が開発されています。アルミナやボロンナイトライドなどの熱伝導性フィラーを高充填したエポキシ樹脂で、熱伝導率が3~10 W/m・K程度のものが実用化されています。

2. ポリイミド系材料

フレキシブル基板用ポリイミド

ポリイミドは、優れた耐熱性(Tg:>260℃)と柔軟性を持つ樹脂材料です。主にフレキシブルプリント基板(FPC)に使用され、スマートフォンやウェアラブルデバイスなどの小型・薄型電子機器に広く採用されています。耐熱性が高いため、鉛フリーはんだのリフロー工程にも対応可能です。

高周波用ポリイミド材料

ポリイミドは本来、誘電率が比較的高い材料ですが、分子構造の改良や特殊なフィラーの添加により、低誘電率・低誘電正接のポリイミド材料が開発されています。これらの材料は、高周波用フレキシブル基板やリジッド基板に使用され、5Gミリ波帯などの高周波アプリケーションに適しています。

耐熱ポリイミド材料

特に高い耐熱性が要求される用途向けに、耐熱性を極限まで高めたポリイミド材料も開発されています。これらの材料は、Tgが300℃以上に達し、短時間であれば400℃以上の高温にも耐えることができます。航空宇宙分野や高温環境下で使用される産業機器などに採用されています。

3. フッ素樹脂系材料

PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)

PTFEは、極めて低い誘電率(εr≈2.1)と誘電正接(tanδ≈0.0002 @10GHz)を持つ材料で、高周波特性に優れています。主にミリ波帯やマイクロ波帯で使用される高周波基板に採用されています。ただし、加工性や接着性に課題があるため、特殊な製造プロセスが必要です。

変性フッ素樹脂材料

PTFEの優れた電気特性を維持しつつ、加工性や接着性を改善した変性フッ素樹脂材料が開発されています。例えば、PTFE粉末を他の樹脂と複合化した材料や、フッ素化エポキシ樹脂などがあります。これらの材料は、5G基地局用アンテナや高速サーバー向けの基板などに使用されています。

液晶ポリマー(LCP)

LCPは、フッ素樹脂に近い低誘電率・低誘電正接特性を持ちながら、成形加工性に優れた材料です。主にミリ波帯のアンテナや高速伝送用のフレキシブル基板に使用されています。耐熱性も高く(融点:280~330℃)、高周波特性と耐熱性を両立した材料として注目されています。

プリント基板用途の樹脂材料の主な用途

1. コンシューマーエレクトロニクス

スマートフォン・タブレット

スマートフォンやタブレットには、高密度実装に対応した薄型のプリント基板が使用されています。主に、高Tgエポキシ樹脂やポリイミド樹脂が採用されており、特にフレキシブル基板には、ポリイミドフィルムが広く使用されています。最新のスマートフォンでは、5G対応のため、低損失材料の採用も進んでいます。

ウェアラブルデバイス

スマートウォッチやフィットネストラッカーなどのウェアラブルデバイスでは、極薄のフレキシブル基板が多用されています。ポリイミド樹脂やLCPなどの柔軟性に優れた材料が主に使用されており、デバイスの小型化・軽量化に貢献しています。

ノートPC・デスクトップPC

PCには、高性能かつ信頼性の高いプリント基板が求められます。主に、高Tgエポキシ樹脂(FR-4)が使用されていますが、高速信号処理が必要な部分では、低誘電率材料も採用されています。また、発熱対策として、一部に高熱伝導性樹脂材料が使用されることもあります。

2. 自動車産業

電気自動車(EV)用パワーエレクトロニクス

EVのインバーターやコンバーターなどのパワーエレクトロニクス機器には、高耐熱性と高信頼性を持つプリント基板が必要です。セラミックフィラーを高充填した高熱伝導エポキシ樹脂や、アルミニウム基板と組み合わせたIMS(絶縁金属基板)などが使用されています。これらの材料は、150℃以上の高温環境下でも安定して動作することが求められます。

自動運転システム

自動運転システムには、高速・大容量のデータ処理が必要なため、高周波特性に優れたプリント基板材料が使用されています。低誘電率・低誘電正接のエポキシ樹脂や、一部にフッ素樹脂系材料が採用されています。また、ミリ波レーダー用のアンテナ基板には、PTFEやLCPなどの高周波材料が使用されています。

車載インフォテインメントシステム

車載ディスプレイやオーディオシステムなどのインフォテインメント機器には、一般的なFR-4材料が多く使用されています。ただし、高速信号処理が必要な部分では、低損失材料が採用されることもあります。また、フレキシブル基板を用いて、限られたスペースへの実装を可能にしています。

3. 産業機器・インフラ

5G基地局

5G基地局のアンテナや高周波回路には、低損失特性が極めて重要です。そのため、フッ素樹脂系材料(PTFE、変性フッ素樹脂)や、低誘電率エポキシ樹脂、LCPなどが使用されています。特に、ミリ波帯(28GHz以上)で使用される基板には、PTFEやLCPが多く採用されています。

産業用ロボット

産業用ロボットの制御基板には、高信頼性と耐環境性が求められます。主に高Tgエポキシ樹脂(FR-4)が使用されていますが、可動部分にはポリイミド系のフレキシブル基板も採用されています。また、高出力モーター制御部には、高熱伝導性樹脂材料が使用されることもあります。

医療機器

医療機器用のプリント基板には、高い信頼性と生体適合性が要求されます。主に高品質のFR-4材料が使用されていますが、小型・薄型化が必要な機器(ウェアラブル医療デバイスなど)では、ポリイミド系のフレキシブル基板も採用されています。また、MRIなどの高周波を使用する機器では、低損失材料(フッ素樹脂系など)が使用されています。

プリント基板用途の樹脂材料の主な製造メーカー

1. 日本メーカー

パナソニック

パナソニックは、高機能エポキシ樹脂材料「MEGTRON」シリーズで知られています。特に、高周波対応材料や高速伝送用材料に強みを持ち、5G基地局やデータセンター向けの製品を展開しています。また、環境配慮型の材料開発にも注力しており、ハロゲンフリー材料やバイオマス由来材料の開発も進めています。

三菱ガス化学

三菱ガス化学は、高Tgエポキシ樹脂材料「BT樹脂」で世界的に高いシェアを持っています。BT樹脂は、優れた耐熱性と低吸湿性を特徴とし、半導体パッケージ基板や高多層基板に広く使用されています。近年では、5G対応の低誘電率材料や、車載用の高信頼性材料の開発にも力を入れています。

レゾナック

レゾナック(旧:日立化成、昭和電工マテリアルズ)は、幅広いプリント基板材料を製造しています。特に、高多層基板用の樹脂材料や、フレキシブル基板用のポリイミド材料に強みを持っています。また、次世代半導体パッケージ用の低反り材料や、車載用の高信頼性材料なども開発しています。

AGC

AGCは、フッ素樹脂技術を活かした高周波用プリント基板材料で強みを持っています。特に、変性PTFE材料「Fluon®ETFE」シリーズは、PTFEの優れた電気特性と、エポキシ樹脂並みの加工性を両立させた材料として、5Gミリ波帯アンテナなどに採用されています。

2. 海外メーカー

Rogers Corporation(アメリカ)

Rogers Corporationは、高周波・高速デジタル用の特殊材料で世界的に知られています。PTFE系の「RT/duroid」シリーズや、セラミック充填PTFE複合材料「RO3000」シリーズなど、高性能な材料を多数展開しています。5G基地局用アンテナ基板や、航空宇宙用の高信頼性基板などに広く採用されています。

Isola Group(アメリカ)

Isola Groupは、高性能ラミネート材料の大手メーカーです。高速デジタル用の低損失材料「Tachyon」シリーズや、高Tgエポキシ材料「IS400」シリーズなど、幅広い製品ラインナップを持っています。特に、通信インフラやコンピューターサーバー向けの材料に強みを持っています。

Kingboard Laminates Holdings Limited(中国)

Kingboard Laminatesは、中国最大のプリント基板材料メーカーです。主に汎用FR-4材料を大量生産していますが、近年では高機能材料の開発にも注力しています。特に、5G通信向けの低損失材料や、自動車用の高信頼性材料の開発を進めており、グローバル市場でのシェア拡大を図っています。

DuPont(アメリカ)

DuPontは、ポリイミドフィルム「Kapton®」で知られる老舗化学メーカーです。Kaptonは、フレキシブルプリント基板の標準材料として広く使用されています。近年では、5G対応の低損失ポリイミド材料や、高耐熱性ポリイミド材料など、特殊用途向けの製品開発も進めています。

まとめ

プリント基板用途の樹脂材料は、エレクトロニクス産業の発展を支える重要な要素です。市場は2025年に向けて着実な成長が見込まれており、特に5G通信、AI、IoT、電気自動車などの先端分野での需要拡大が期待されています。

主要な樹脂材料としては、エポキシ樹脂、ポリイミド、フッ素樹脂などがあり、それぞれの特性を活かして様々な用途に使用されています。最近のトレンドとしては、以下の点が挙げられます:

  1. 高周波対応:5G通信に対応した低誘電率・低誘電正接材料の開発
  2. 高熱伝導性:パワーデバイスの高性能化に対応した熱管理材料の進化
  3. 環境配慮:バイオマス由来材料やリサイクル可能な材料の開発
  4. 高密度実装:薄型化・微細化に対応した高性能材料の進化
  5. 高信頼性:自動車や産業機器向けの耐環境性に優れた材料の開発

製造メーカーは、日本や欧米の大手企業が技術をリードする一方で、中国や韓国などの新興メーカーも急速に力をつけています。また、ナノテクノロジーを応用した新材料の開発など、ベンチャー企業の動向にも注目が集まっています。

今後は、材料技術の進化とともに、製造プロセスの革新(3Dプリンティング技術の応用など)や、環境負荷低減に向けた取り組みがさらに加速すると予想されます。エンジニアの皆様には、これらの最新動向を踏まえつつ、自社の製品開発や材料選定に活かしていただければと思います。

プリント基板用途の樹脂材料は、目に見えない部分で電子機器の性能を支える「縁の下の力持ち」です。しかし、その重要性は今後ますます高まっていくでしょう。技術の進化と市場動向を注視しながら、最適な材料選択と活用を行うことが、競争力のある製品開発につながると言えるでしょう。

参考サイト